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テスト勉強と練習に明け暮れていると時が過ぎるのもあっという間で、12月５日。坂田くんの誕生日であり、発表会当日になった。私は今日、坂田くんに劇の片付けが終わってから誕生日プレゼントを渡して、想いを伝えようと思う。４日前の１日、なんとしぃちゃんが遂に月崎くんと両想いになったんだよね。センラからも相談されていた身としては複雑だけど、そう報告してくれたしぃちゃんはすごく幸せそうで。私もいい加減蹴りをつけようと踏み切ることにした。
『このティアラはおばあさまの大事な宝石が埋め込まれているの。誰にも渡せないわ！』
１週間後には新女王だというのに子供っぽい姫は警備の者にさえティアラを渡すのを拒み、自分で守ると駄々をこねる。ティアラに嵌められたエメラルドとアメジストとパイライトは、両親を早くに亡くし、母親代わりとして育ててくれた前女王のおばあさまが譲ってくれた物。姫にとっては思い入れが深いんだよね。
『僕が姫の傍でティアラと姫を守ります。だからどうか、姫の要望を叶えてあげてくれませんか？』
『ミンティア様がそこまで言うなら･･･』
姫の婚約者であり、伯爵家の次男坊で騎士としても優秀なうらたくん演じるフランツがそう言うと臣下は渋々了承してくれる。いよいよ劇は山場の、坂田くん演じる怪盗のシーンへ。
『ふわぁ･･･ダメダメ、ティアラを守るために起きてなくちゃ！』
『姫にとって夜更かしは辛いでしょう、僕が必ず起きているので、少し仮眠を取られてはいかがでしょう？』
フランツの言葉に甘え、彼の膝で眠る姫の頭をフランツが優しく撫でる。前女王が決めた政略婚とはいえ、フランツは心から姫のことを愛しているから。そこでガラスが割れ、目が覚めると怪盗が窓から部屋に侵入した。
『来たなコソ泥、ティアラには指１本触れさせないぞ！』
『俺が狙っとんはティアラちゃうんやけど』
え･･･？全然台本と違うセリフに、関西弁。舞台袖にいる沙織始をはじめ部員も焦っている。けど――
『続けて！なんとか繋げて！』
沙織がカンペを私に見えるよう持っている。
『俺の狙いは姫、最初から貴女やったんですよ。ティアラを盗むと言えば、大事にしとう姫はティアラの傍を離れんと思って』
『なら決闘だな。俺は本気で姫のことが好きなんだ、ぽっと出のお前に奪わせる気なんて更々ねーよ』
うらたくんも完全に素の口調に戻り、2人は剣戟を始めた。
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