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次の日、朝早くから私は冷え込む体育館にやってきた。というのも、今日から演劇部の練習に参加するため。発表会はテスト開けすぐの12月5日の放課後に行われるから、演劇部は部活停止期間だけど許可をもらって朝休みと放課後に部活を行っている。
「これ3人の台本ね、うらた王子の要望で台本書き直したんだけど、どう?」
うらたくん、どんな注文をつけたんだろ・・・え、私お姫様役!?劇のあらすじは私演じる王女のティアラを盗もうと企む坂田くん演じる怪盗・「Phantom Knight」の魔の手からうらたくん演じる姫の婚約者の貴族が守り抜き、2人は結ばれるというラブロマンス。初めてのお芝居でいきなりヒロインとかハードル高い・・・!
「俺も演技自信ないけど、一緒に頑張ろ!」
坂田くんはすごいな、すごく前向き。私も気持ち切り替えて頑張るしかないよね!あ、発表会の日ってそういえば――
「なにその棒読み。ここの場面重要なのにそんなんじゃ観客共感しねーぞ」
うらたくんの仰る通りで・・・。自分では頑張ってるつもりだけど、やっぱり私には向いてないんじゃ・・・。
「そんなきつい言い方ばってん!」
「じゃあ妥協してまーる、はいよくできましたー」
坂田くんの優しさに甘えてちゃ駄目だ。うちの演劇部って毎年全国行くくらいの強豪校、代役とはいえその看板に泥を塗らないようにしないと!
「うらたくん、私の演技のどこがダメなのか具体的にはっきり言って!」
「分かった。その前に、その――さっきはきつい言い方してごめんな」
「絶対ロクな奴じゃないって・・・。ま、俺もそこまでやし一緒にどうすれば上達するか考えよ!」
思ったことをはっきり言って妥協せずに努力するうらたくんの姿勢って素敵だと思う、けど――。やっぱり私は優しく寄り添ってくれて、現状に満足せずに頑張る坂田くんが好きだなぁ。練習に集中しないといけないのに、不覚にもキュンとしてしまった。
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