【skt】どっちつかずPrincess(凛月花) ページ5
❆ ❆ ❆
「おはよう！ねぇ放課後暇なら新しいカフェ行かない？」
「もうすぐ期末だから行く訳ねーだろ。今日俺と勉強するだろ？」
えーっと･･･。11月下旬、早く暖かい教室に入りたいと飛び込んだらこの始末。いつものことなんだけど。クラスメイトの坂田くんとうらたくんは何故か私に執着している。坂田くんは優しくてフレンドリーだし、うらたくんは言い方きついとこあるけど根は優しくて図書委員やテスト前にはお世話になってるし。どっちも無下に出来ないんだよね。ただ･･･最近は坂田くんに傾きつつあるんだけど。
「王子、姫ー！どうか演劇部を助けて下さい!!」
「ちょ、苦しい苦しい！何があったの？」
そう言って抱きついてきたのは友達であり演劇部新部長の佐織。もうすぐ近隣の高校と合同の発表会があるのは知ってるんだけど。ていうか･･･
「姫呼びやめてくれない？」
「うちの学年のイケメン四天王であり、王子と呼ばれる2人に猛アタックされてるんだから姫でしょ。それより！部員が３人もインフルでぶっ倒れて発表会ピンチなの〜！代役してくれない？」
えー･･･。私演技とか無理なんどけど。2人も断るよね？
「Aちゃんが引き受けるならやる！」
「お前大根役者だからやめとけ。Aと絡む役ならする」
嘘でしょ！？佐織が期待した目で両手握ってくるし断れないじゃん！
「タメ息ばっかやったんはそういうことか。御愁傷様」
「拝まなくて良いから、まだ死んでないんですけど！それより、センラこそ意中のしぃちゃんとはどうなの？」
放課後、テスト期間だけど私達は走り込みをしていた。体が鈍るからと陸上部のエースで新部長であるセンラの横を、同じく陸上部である私が並走する。しぃちゃんというのは学年でシンデレラと呼ばれるほどの美人の友達で、私と同じ名前だから名字の志水から作ったあだ名で呼んでいる。
「クラスも部活もちゃうからアプローチできひん上に、同クラで幼馴染のまーしぃおるからなかなかな〜」
「そっか･･･」
しぃちゃんと月崎くんの絡み見たことないから、センラから幼馴染って聞いた時はびっくりしたな。切なそうに遠くを見るセンラを応援したいけどーー
「人の心配しとう暇ないんちゃう？ほら」
センラが指差した先に、
「Aちゃーん、一緒に帰ろ！」
「せっかくの部活停止期間にそんな頑張らなくて良くね？」
わざわざ迎えに来てくれたのか･･･。
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