・ ページ3
❆ ❆ ❆
「ごめんなさい!」
放課後、山村さんは空き教室に移動してすぐ私達に謝った。今にも泣きそうな顔で頭を深々と下げ、肩は震えている。まさか犯人って・・・
「山村さんが自分で志麻のリュックに入れたの?」
「うん、そう。志麻くんと話したくて、持ち物入れたら渡すために話しかけてくれるかなって、まさかあんな大事になるなんて思ってなくてーー」
とうとう、泣き出した山村さんの行動を、私は理解できなかった。ちょっと考えたらあぁなること分かるでしょ。あ、でも・・・。恋は人を狂わす。そういう意味で、私と山村さんは似ているかもしれない。
「フラれるのは分かってるけど言わせて。志麻くんが好きです!」
「全然接点ないし、騒ぎ起こしてA巻き込んだ奴好きになれん、ごめん。それと、正直に自作自演したって明日言ってくれん?」
気持ちを伝えられたからか、吹っ切れた顔に変わった山村さんは頷いた後、空き教室を出ていった。案外すぐに解決して良かった。ほっとしていると、おずおずと志麻が私の手を握った。
「今から行きたいとこあんねんけど、良い?」
「うん、大丈夫」
「ちょ、立入禁止のはずなのに駄目だよ!」
「俺休み時間教室におりたない時ここにおんねん」
連れてこられたのは屋上だった。こんなとこ先生に見つかったらまずいって!あ、でもーー
「綺麗・・・!」
「やろ?なんかこういうの、久々やな」
グラデーションのような夕焼けがよく見える。確かに幼稚園の頃はーー
『あれは絶対魚や!』
『ううん、アメの形だって!』
手を繋いでよく雲がどんな風に見えるか空を見上げて、たまに首が痛くなったっけ。懐かしいな、多分あの時が1番仲良かった気がする。あ!
「ねぇ、あれハートに見えない?」
「言われてみたら見えんでもないな。じゃあ、俺らもハート作る?」
志麻が作った左半分に私が右半分を寄せて、雲と重なるように位置をずらした。なんかバカップルみたいな甘い雰囲気。夕陽が当たってるせいにしたいくらい、頬に熱が集まる。
「これからもずっと今みたいに同じ空を見上げて、一緒におりたい」
「これからはもっと話しかけるね」
「そういうことちゃうって!あぁもう、ストレートに白状せな伝わらんか・・・」
まさか1番欲しい言葉をくれるなんて思ってなかった。
「好きちやA、幼なじみとしてやのうて女の子として」
4人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ