【usss】出来合いワンナイト・ラブ

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人がごったがえす日曜、駅前の広場。早めに着いたのに、志麻くんはもう待ち合わせ場所にいた。ただし、スマホをいじって私が近くにいることには気づいてないみたい。ゲームの周回かな？

「志麻くーん。しーまーくーん！」
「わっ！？ごめん、全然気がついてなかった･･･」

最後の方は聞こえるか聞こえないかの小声で、私の姿を見た途端顔を赤らめている。成功、かな？今日は肩出しに腹チラ、志麻くんの好きなキャップ帽にショーパン。全体的に黒でまとめて、ゴールドアクセサリーを合わせてみた。こういう系統の服着たの、初めてだ。センラくんと付き合ってた頃は大人っぽい服ばっかりだったからな。今度は志麻くんの好みに合わせたい。

「ほら、行こ？早く行かないと待つ時間長くなっちゃう！」

未だに見惚れてる志麻くんの手を引っ張り、歩き出した。今日はドリームワンダーランドの、まぁるちゃんイベントを満喫する予定。ただでさえ日曜なのにイベントやってるから、絶対お客さん多いよ。志麻くんはされるがままに手を繋いで歩く。その顔はすごく嬉しそうだった。

「Aと昼間に会えるのも、就職してからスーツでうちの店来てたやん？久々に私服見れたんも俺の好みに合わせてくれたんもめちゃくちゃ嬉しい。ありがとう」

そういうことストレートに伝えないでよ。うちの彼氏は前触れなくデレるから困る。案の定、ゲートの前には既に長蛇の列ができていた。面白い話をいっぱいしてくれる志麻くんとなら待ち時間も苦じゃない。

「実はな、ホストの源氏名ほんまは由来ちゃうねん」

私が告白してすぐ、志麻くんはホストクラブを辞めた。私が店に行かなくなったのを紛らわすために勤めていたらしい。

「日向は、向日葵から取ってん。Aの真っ直ぐなとこ、センラに一途なとこ向日葵に似てるなって。夜の世界で生きる俺と大違いやし。レオは前も言ったけどライオン、ライオンみたいに奪えたらなーって」

そんな顔しないでよ･･･。遠くを見つめる横顔は、哀愁か漂っていた。まさか志麻くんがそんな風に思っていたなんて。私は感情が溢れたからか、普段絶対しないのに、自ら彼の柔らかな唇にキスした。

「私こそ、ありがとう。志麻くんのおかげで救われたこといっぱいあるよ。むしろ志麻くんの方が太陽だy･･･んんっ」

ちょ、こんなとこで何回もキスしないでよ！周りがちろちろ見て恥ずかしい･･･！こういうところも好きなんだけど。すっかり溺れてるな。

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