【usss】出来合いワンナイト・ラブ

〃 ページ44

🍸️ 🍸️ 🍸️


前半はバーで盗み聞きした、いとこの社長令嬢との婚約を持ちかけられた話だった。それでどうしたら良いか分からなくなって、私を親戚のゴタゴタに巻き込みたくなくて、別れを告げたって。私に自分が社長と親戚なのを隠していたのも理由があった。

「社長と血ぃ繋がってるって思われたくなかってん。皆それで態度が変わりよったから。玉の輿乗れるんちゃうかって。Aなら大丈夫って思っても怖かった。大事やからこそ、態度が豹変したらって考えたら言えんくて･･･ごめん」

今にも泣きそうに、苦しそうに言葉を紡ぐセンラくん。抱きしめて大丈夫だよって言ってあげたいけど、ここはお店だしセンラくんが不快に思うかもしれない。もう恋人じゃないんだから。

「家にいれんかったんもそれが理由。置いてある物とかでバレたらどうしよって気が気じゃなくて。久々に抱き合った夜、俺嬉しかった。あんなことしたのに俺を受け入れてくれるんや、頼ってくれるんやって。また抱いてって言われたんも。無理矢理沈めたはずの熱がまた再燃してもて。こんな臆病で最低な俺やけどーーもう一度、隣にいさせてくれますか？」

この恋を、終離(おわり)にしないで良いの･･･？目の前のセンラくんがどんどんぼやけて見える。拭っても拭っても、溢れる雫。席を立ったセンラくんは、隣に来てくれハンカチでそっと涙を拭いながら背中を擦ってくれた。困り顔をさせてるんだから、泣き止まないと。そう思えば思うほど、私は子供のように泣きじゃくってしまう。

「俺な、Aが家庭のことで子供の頃苦しんどったんも知ってたから、余計言えんかってんよ。ただでさえ辛い思いしたのに、今度は人様の家の事情に巻き込ませて良いんやろかって。でもそんなん言い訳よな」

ううん、センラくんが優しくて気配りができる人間だからこその悩みだよね。だからそんな悲しそうな表情しないで。

「やっと決心がついた。俺絶対Aとの結婚勝ち取るから、一緒に戦ってくれる？」
「私もずっとセンラくんといたいから、頑張る！」

社長は冷血だって有名だけど、愛する人と結ばれるためならなんだってするよ。

〃→←【snr end】Restart

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す