【usss】出来合いワンナイト・ラブ

【snr end】Restart ページ43

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仕事終わり、今日は家に直帰でもバーでもホテルでもない。ちょっとお高いレストランである人物が来るのを待っていた。仕事用のスーツのままだけど、メイクはここに来る前に華やかに化粧し直した。相手は困っちゃうかもだけど。ドアの開く音がする度に入り口を見てしまう。何回目かで、ようやく目当ての人物が入店してきた。私はこっちだと示すために、手を振った。

「待たせてごめんな。ちょっと仕事押してもて」
「ううん、急に呼び出したのはこっちだから。今日は来てくれてありがとう」

店員さんに声をかけ、予約していたコースの料理を持ってきて欲しいと伝えてから、私はセンラくんに向き合った。いつもと変わらない、にこやかなセンラくん。病室であんな酷いこと言ったのに。

「退院おめでとう。表向きは退院祝いってことにしといて。ここから先の話は、みっともないアラサー前の女の独り言だと思って聞いて」

私はLI＊Eでこの前のお詫びと退院祝いがしたいと書いて約束を取り付けた。でも本当の目的は違う。私の今の想いを伝えるため。

「私ね、かっこいいセンラくん好きだった。こんな人が彼氏なんてってすごく嬉しかった。でも･･･今思うと完璧過ぎたっていうか、隙がなかったっていうか。そりゃ私みたいなの頼りにくいのも分かる。でもね、素を見せて欲しかった。ダサくたって良い、だって私はダサいとこいっぱい見せてたもん。それくらいで熱冷めたりしなかったのに」
「･･･」

今の彼の顔にはどんな感情も浮かんでいない。急に怖くなってきた。こんなこと、伝えなかったら良かったんじゃないか。もっと関係を拗らせちゃったんじゃないか。別に彼がご令嬢と結婚しようが構わない。ただーー嫌われたくはない。私は喉が乾いてグラスの水を飲んだけど、手汗でグラスを落としそうになった。

「ごめん、忘れて。ここ来るの久しぶりだけど、付き合ってた頃に来た時と全然変わってないね」
「Aったほんまよう分からんよね」

分からない･･･？全く想像していなかった返答に、私は困惑してしまった。

「無邪気で子供っぽいかと思えば、小悪魔で俺が手の平でコロコロ転がされて。俺の斜め上の行動をしてくる。だから半年も続いたんやろなぁ、Aが最長記録やで。俺の話も、聞いてくれる？最低なアラサー前男の本音」

もちろん。むしろ、それを私は待ち望んでいたんだから。

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