【usss】出来合いワンナイト・ラブ

つい出てしまった棘 ページ39

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昼休憩の時間を使って、私は書類の入った封筒に貼られていた付箋に書かれた病院へと向かった。昼休憩の間に会社に戻れないと思うから、その間の仕事は桃ちゃんがやってくるるとのこと。後輩に迷惑かけてまで、会いたくないのに。付箋に書かれた病室のドアの前に立つと、中から男性2人の話し声が聞こえてきた。1人はもとろん、患者であるセンラくん。もう1人の声、まさか･･･。そういえばここ、勤務先だからいてもおかしくないか。すぐに帰りたいから、私は先客の見舞い客が変えるのを待たずに、ドアをノックした。

「雫ちゃん･･･？なんで雫ちゃんが、センラの見舞いに？」
「優くん･･･昨日ぶり。勤務先、一緒なの。そういう優くんこそ、折原さんと知り合いだったんだね」

センラくんは、私と優くんが普通に会話しているのをぼんやりと眺めている。驚かないんだね･･･。ベッドで座るセンラくんは過労で倒れただけあって、疲れが滲み出ていた。そんな状態なのに、仕事の話するの気まず･･･私は病室特有の、車輪がついて動くテーブルに書類の封筒を置いた。

「服部くんがこの書類に目を通しておいて欲しいって言ってました」
「ありがとう。坂田がおるからって、別にそんな固くならんでも良いのに」

前は仲良かった、みたいな雰囲気出すの止めてくれない？ただでさえ、夏樹くんのことで昨日あんなことになったのに。案の定、優くんの表情が曇った。まさか、センラくんが優くんにそんなことを言っているとは思っていなかったけど。

「もしかして、半年付き合って別れた彼女って、雫ちゃんのこと？」
「雫ちゃん･･･？坂田はAのことそう呼んどん？どっから雫に変形したんかよう分からんねんけど」

そんな気安く下の名前で言わないで･･･！大人になり切れていない私は向こうからすると捨て台詞に聞こえるような言葉を吐いて、足早に病室を出てしまった。

「もう下の名前で呼ばれるような関係じゃないのに、止めてくれません？私折原さんって呼びましたよね？察して下さい。じゃあ失礼します」

病室を出てから、近くの家族控室に入ってすぐの壁にもたれ、しゃがみ込んでしまった。なんで隊長を心配するような気遣いの言葉とか、せめてお大事にって言えなかったの･･･！こんなんだからフラれるんだよ。家族控室にはご家族など他にも人はいる訳で。私は顔を膝にくっつけて、下を向いた。こんなところで泣くわけにいかないのに･･･。

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