【usss】出来合いワンナイト・ラブ

連鎖 ページ31

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「営業部の人達、バタバタしてますねー」
「企画部が一息ついたら営業部が忙しくなるのは連鎖だからしょうがないよ」

桃ちゃんが悲しそうにそう呟いたけど、これはしょうがない。企画部で作った企画が通れば各部署がそれに基づいて動いて、完成したら営業部が売り込みに行く。大型企画も動いてるし、ご愁傷様ですとしか言えない。ついこの前までうちが地獄絵図だったから、今こんなにゆったりしてて申し訳ないとか微塵もない。桃ちゃんは営業部に彼氏いるから他人事じゃないけどね。

「桃ちゃんは推し活とリア充、どうやって両立させてんの？」
「彼も女性アイドル好きだから、それでおあいこなんです。今のドタバタ期終わったら有休使いまくってツアー遠征行くんですよ？彼女との久々のデートより先に！まぁ、何回かは同行するから良いけどさ」

あぁ、来月ちょこちょこ有休取ってんのはそれなのね。同じ営業×企画社内恋愛カップルなのに、こうも違うとはねー。やっぱお互い分かり合える趣味があった方が良いのかな。ピロンと、隣のデスクから通知音が鳴った。

「ちょっと、さすがにスマホの音切っときなよ、火だるまいなくて良かったね」
「すみません！あ、わっくんこの時間にツイートしてるの珍しー」

本当は咎めるべきだけど、いっか。Twitt＊rを確認する桃ちゃんをスルーして、私は仕事を再開した。パソコンを見ていた視界にスッと、スマホ画面が割り込まれた。


＠wataru_urata_official
いつも見守ってくれてありがとう
かわいい君の笑顔がずっと忘れられない
なきそうなくらい、あの時の景色綺麗だったよ
いつ会えるか分からない、予定立ってないから
でも絶対愛に行くから、待っててね

ツアー終わったから、ファンに向けての感謝？桃ちゃんは頭文字の部分を縦に指差した。

「わざわざ可愛いとかひらがなで打ってるじゃないですか？『いかないで』、しかも今日って、田山若葉ちゃんの命日･･･。やっぱわっくん今でも好きなんだ」

若葉って、この前間違えて私に言ってた･･･。ファンの間でも周知の事実なんだ。

「その若葉ちゃんの話、詳しく聞かせてくれない？」
「へ？先輩芸能人の恋愛話好きじゃなかったのにどうしたんですか？全然良いですけど」

確かに私はその手の話に興味がない。雲の上の存在の彼らの恋愛事情なんてどうでも良いから。でも夏樹くんは身近だから。

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