【usss】出来合いワンナイト・ラブ

火花 ページ27

🍸️ 🍸️ 🍸️



「雫ちゃんのおすすめのバー、楽しみやわぁ。今日大変な患者さん多かったから自制せんかったら飲み過ぎそうで怖いけど」


優くんはあっさり私の誘いに乗ってくれた。平日なので、私も彼も本業の仕事帰りに落ち合った。優くんは病院ではナース服だから通勤時は私服だけど、私は普段スーツ。待ち合わせの前にかさばるのを承知で持ってきたオシャレな服に着替え、メイクもオフィス向けのナチュラルなものからセンラくんとデートしていた時くらいのしっかりめにやり直した。周りからは女の方がやけに力入れてんなって思われているかもしれない。

「お酒そんなに強くない感じ？早めに声かけるね」
「さすが行きつけのバーがあるだけあって、雫ちゃんはお酒強いんかぁ。情けないけど、ストップお願いしまーす！」

彼との会話はふわふわしていて、すごく心地が良い。センラくんとはそうでもなかった。なにせ向こうが完璧スパダリだったから、なんとなくボロが出ないようにしないとって、今思えば肩に力が入ってた気がする。センラくんが嫌になったのは、私が甘えないのもあったのかもしれない。

「いらっしゃ･･･坂田？」
「え、まーしぃ？雫ちゃんが言ってたバーってまーしぃとこやったん！？」

世間狭すぎでしょ。まさか優くんと志麻くんも知り合いなんて。とりあえず志麻くんの立っている前のカウンター席に座った。志麻くんの前でライブのこと聞きづらいな･･･。とりあえず何か頼も。

「いつものお願い」
「まーしぃ、俺も同じので」
「悪いけど、俺はAちゃんにしかあれは出したくないねん。アルコール弱い奴の方が良えよな？」

なんでアプリコットフィズを優くんに出したくないの？よく分からないけど、出来上がったお酒は相も変わらず爽やかでフルーティーな味ですごく美味しい。

「優くん、渉くんのライブ来てたよね？」
「雫ちゃんもおったん！？うらさんとは友達で、見に来てって誘われてさ」
「坂田ってAちゃんのこと本名で呼んでないんや、へー」

分かりやすく勝ち誇った笑みを浮かべる志麻くん。そんなことでマウント取らないでよ･･･。優くんの性格ならさらっと流すかと思ったけど、意外に食って掛かった。

「･･･だからって何？呼び方１つで愛の重さなんて推し測れんやろ？」

鋭く細められた瞳は雄みを帯びていて。普段の可愛らしい雰囲気とのギャップに不覚にもドキッとしてしまった。

新作のお知らせ→←鋭い勘

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す