【usss】出来合いワンナイト・ラブ

初ライブ ページ24

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「先輩、今日はとにかく楽しみましょう、それでハマってくれたらもっと嬉しいです！」

今日はいよいよ夏樹くんのライブの日。桃ちゃんと一緒にグッズ購入の列に並んだのは良いものの、私は周りの子に圧倒されていた。可愛い洋服を身に纏い、すごく時間がかかっただろうヘアメイク、持ち物についたグッズ。私も桃ちゃんと志麻くんのアドバイスを聞いてオシャレしてきたつもりだけど、キラキラと目を輝かせてまるで恋しているような子達にはきっと敵わない。

「浦田渉くんのファンってリアコ多いの？」
「どうなんだろ･･･他のファンから軍隊とは呼ばれてますけど。わっくんファンを甘やかすの上手なので」

こたぬきってファンネームに合わない軍隊呼びは、ライブになってから少し分かった気がする。透き通った高い歌声、惹き付けられるダンスやポーズ、なによりファンサが多い。付き添いで来たはずなのに、いつの間にか周りの子と同じくらいペンライトを振っている。あ･･･！

「やった、私ファンサもらえた！」
「えー、今の絶対私だって！」

後ろの人達はそう言ってるけど多分ーー私に対してだ。目が合って一瞬驚いた彼は、次の瞬間にはアイドルの顔に戻りウインクに、バキューンと手で作った銃で撃ち抜かれた。

「先輩、初ライブで確定ファンサおめでとうございます！」

桃ちゃん、他の人にファンサされても気にならないの？後ろの人に聞かれないよう小声でお祝いしてくれた桃ちゃんに疑問を持った。この子はオタクの鑑だ。聞いてみると素敵な答えが返ってきた。

「ファンサって勘違いしたものがちですけど、長年来てるとわっくんが誰に対してしたか分かるんです。わっくんはこたぬき皆のこと平等に好きって信じてますから。よし、私もファンサ貰えるように頑張ろ！」

夏樹くん、こんなに健気な桃ちゃんにもファンサしてあげて。MCの時間に入り、ふと視界に見覚えのある人物が映った。あの燃えるような赤い髪･･･優くん？優くんって趣味の話聞いてるとアイドル好きそうな感じじゃないんだけど。そのあたたかく見守るような優しい目つきはファンとしてアイドルの夏樹くんを見ているというより、友人を応援しているようにも見える。今度聞いちゃおっかな。それだけで誘うのあれだし、口実考えないと。

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