【usss】出来合いワンナイト・ラブ

引きずる過去 ページ21

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スマホで仕掛けたアラームで目が覚めた。反射的に隣を見ると、センラくんはいなかった。一緒に夕ごはん食べて、隣で寝てくれて。ちょっと前に戻ったように感じてしまっていたけど、朝起きて隣に彼がいないという現実が、別れたという事実をありありと物語っている。何も身に纏っていないのはさすがにマズいから下着と部屋着を着て、ダイニングに行くとテーブルにお皿と弁当箱が並んでいる。わざわざ朝食とお弁当、作ってくれたんだ･･･。

『最近まともな物食べてないんちゃうん？冷蔵庫、惣菜とコンビニ弁当と冷凍食品まみれやん。ちゃんと栄養のある物食べなあかんで？』

なんてメモまで残して。最早お母さんじゃん。メモの上に、ぽろぽろと雫が落ちてシミを作る。こんなに優しくしないでよ、また元に戻れるんじゃないかって期待しちゃうじゃん･･･！オムレツを口にすると、懐かしいセンラくんの味で余計に涙が溢れてくる。とりあえず、お礼言っとかないと。

A朝食とお弁当、ありがとう。美味しかったよ

これだけで済ませれば良いのに、余計失恋の傷口を広げる私は馬鹿だ。

Aセンラくんが良ければ、また来て欲しい。雨の日に
センラくん良えよ


たった３文字の肯定の返事を喜んで良いのか突き放してよと嘆くべきなのか、複雑な気持ちでメッセージアプリを閉じた。


『あんたは本当なにも出来ない子ね。しばらく外で反省しなさい！』

母親も私と同じく低気圧になると頭痛がする人だった。それを私に八つ当たりしてきて、よく雨の日はご飯抜きで家から追い出された。近所の人がジロジロ見るし、下手をすれば私を追い出したことを忘れ、一晩過ごして風邪を引いたこともあった。父親は母親の尻に敷かれていたから庇ってくれなかった。共働きの2人は私が風邪を引いても休んでくれなかった。

『馬鹿は風邪を引かないはずなのにね。市販の薬飲んで寝てれば治るでしょ』


「次は○▲駅ー、」

ヤバ、次降りないと！うたた寝で見た夢があれとか最悪･･･。でもーー

『Aめっちゃ料理上手やな。隠し味何使ってんの？』

子供の頃から自分でご飯を作らないと与えてもらえなかったこともあり、センラくんに褒めてもらえたのは嬉しかったな。センラくんが褒めてくれた手料理、腕が衰えないように頑張って作ろっかな。私はセンラくん依存症なのかもしれない。

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