【usss】出来合いワンナイト・ラブ

初めての経験 ページ12

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「日向レオさんで」

彼が好みそうな露出多めで大人っぽい黒のドレスを身につけた私は、ボーイさんに指名するかどうか聞かれ真っ先に彼の源氏名を口にした。ホストクラブが初めての私にとって、この煌びやかな店内だけでも好奇心をそそられ、都会から出てきた田舎者のようにキョロキョロ見てしまう。彼が言っていたことは本当のようで、最初はヘルプのキャストさんが私の相手をしてくれた。

「レオさん目当てで来たんだ？」
「はい、彼とは以前から知り合いで」
「こんな美人さんと繋がりあるなんて、さすがレオさん！」

ヘルプさんもさすがホスト、話上手で私のペースに合わせてくれるし、さりげなく私を褒めてくれる。ヘルプさんと話が弾んでいると、いよいよ本命がやって来た。バーテンダーの制服はもちろん、ばっちり髪型とメイクをキメ、派手な服装も彼の整った顔を更に引き立たせている。

「来てくれてありがとな。さすが、俺の好み分かってんじゃん」
「何年の付き合いだと思ってるんです？」

バーテンダーと客。それ以上でもそれ以下でもなかったけど、私はお酒によって、向こうは営業トークとして恋バナや異性の話でよく盛り上がった。ホストとしての彼は絶対王政の王様キャラで売っているみたいで、普段との態度の違いに最初は違和感も感じたけど、根本は志麻くんだから気づかないうちに慣れていった。この容姿だからこそ、王様キャラもハマってお客さんに人気なんだろうな。

「レオさん、向こうのテーブルお願いします」
「分かった。俺が戻るまで、良い子でいれるよな？」
「待つのは慣れてるからね」

営業部の期待の若手と企画部の凡人。センラくんとは予定が合わないことも多かった。でも絶対にどこかで埋め合わせをしてくれるし、日にちが前後しても記念日はきっちり押さえてくれてたから半年関係が続いていた。席を離れる前、一瞬『志麻くん』に戻ったレオさんに耳打ちされた。

「シフト終わってからやったら付き合うけど、どうする？」
「お酒でも飲んで待ってるね」

対等だと思わせてくれる夏樹くんとは違う、主導権を握られる志麻くんとの夜。別の人と一夜を共にした後だと、また感じ方違うのかな？そういえば、たぬきのアイコン増えたの何も言わなかったな。仕事中っていうのもあると思うけど、それを指摘できるような関係じゃないしね。

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