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食堂に行く前に、とりあえず自分の上着を取りに行こうと思って審神者部屋へ向かった。
伽羅ちゃんは、昼間にあった出来事については、特に何も触れてこなかった。
私は衣装棚の中からサッともこもこの上着を取り出し、部屋の前で待ってくれている伽羅ちゃんの元へ走った。
部屋を出ると、伽羅ちゃんは無言でそそくさと食堂の方へ歩き出す。
私は上着を着ながらその後を追いかけた。
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食堂に行くと、大きな長机の端に、一食分ラップをして置いてあった。時計を見ると、もう九時を過ぎていて、夕餉の時間はとうに終わっていた。
伽羅ちゃんはその一食分のごはんをレンジに入れ、慣れた手つきで温める。
「あ、ごめん、やらせちゃって…」
夕餉の準備をやらせてしまっていたことや、一食分だけ残してくれていたこと、せっかく作りたてを出してくれているのに時間をおいてしまったことに申し訳なさを感じる。
…ああ、あのとき、いつも通りにしていればよかったのかな。
告白したあとに逃げ出してしまったのも悪かったんだな。
私のせいで迷惑かけちゃった。
私はとぼとぼ椅子に座った。
彼はごはんを私の目の前に置いた後、どこかへ行ってしまった。私は、食堂で一人ぼっちで、彼がレンジで温め直してくれたごはんを食べた。
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作者名:楠葉 | 作成日時:2020年2月23日 19時