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あの殺し屋少女・Aが帰った後、シャーロックがゆっくりと口を開く
「あのペンダント、ファイナルファクトだね」
ファイナルファクトは俺達のスキル・コピーで唯一コピーできないもの
いや、唯一でもないな。命を持つものはコピーできないから
まあ、それは置いといて
ファイナルファクトは偽物だらけのこの世界にある本物ってところだな
この雑居ビルの住人たち・MAD JESTERSはその本物を狙う怪盗団
「…盗るのか？」
「君は嫌なんだろ？」
「別に」
「安心して、盗る気ないから」
殺し屋一家に産まれた俺と敵対する組織にいたアイツ
本当なら敵なんだが…
「で、あの子何者？」
「元殺し屋、俺の敵」
「なんで記憶がないのか分かる？」
「あの組織は孤児とか一般の子供を育成してた…ようは人攫いだ」
同じ殺し屋でもそこが違う
俺は家族に少しだが褒められたこともある
…でも彼女は…
「多分アイツは人に褒められたこと無いと思う」
「あー聞いたことあるよ、大勢の子供の殺し合いの末に残った子をプロにするんだろ？」
軽く頷く俺の様子にシャーロックの普段の柔和な笑みから忌々しげな表情が伺えた
「ちょっと聞いただけでも胸クソ悪いね」
砕けた言葉遣いは本音の証。
嘘にまみれた俺達の僅かな『本物』
「なんとかして情報を抜こう」
「かなり難しいと思うぞ」
「平気だよ、うちの情報担当は優秀でしょ？」
「お前…もしかして俺たちをフル活用する気か？」
「もちろん」
俺は強固なセキュリティーの情報網に侵入することになる情報担当・マサトの身を案じた
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作者名：まめもやし | 作成日時：2021年7月26日 21時
