4日目 ページ18
.
「忙しいんだよー」
「田村さんじゃん」
「俺もいるよっ！」
「須貝さん！」
玄関の扉を開けると大きい体がこれまた大きい体に背中を押されてずいずいと家の中へ入って行った。私がぼーっとしながら流していると急に頭にぽかっと軽い殴りが入った。顔を見上げると、犯人は須貝さんだった。
「誰か確認してから出なさい」
「母親かよ」
「せめて父にして」
私は玄関の鍵を閉めて追いかけると、さっきまで床に
バラバラにしていた参考書を手に持って鬼の血相(当社比)をしている2人に問い詰められた。
「いつから勉強してる？」
「……15分前」
「ダウト。6時間耐久動画で5時間差し掛かってる」
「すみませんでした！！」
やはり、勉強脳な私に何もしない時間は苦痛なのだ！
だけど、たしかに目をこすって見ると疲れてるのがわかる。
田村さんがほっぺたを両手で包んで、じーっと私の瞳を見つめていた。
「充血してるじゃん。こら」
「俺らもうちょい早く来るべきでしたね」
「いや、須貝くんが悪い」
「え？ 遅れたのは田村さ──」
「はーいAちゃん。お目々ぱっちり開けてね〜」
「目薬嫌いやめてーー！！」
思いっきり田村さんを振り切るも、壁に挟まれて大ピンチ！
こればかりは須貝さんも擁護してくれない！ かなしいー！
そのまま目薬を打たれて、完全に破壊の呪文きた。
須貝さんはバラバラになっていた参考書やプリントを片付けると、ふと目にした大きめの箱に首を傾げた。
「なにこれ？」
「クイズ関係」
「真面目にやったら伊沢を越すと思うよ」
「それは嘘」
「まあ嘘だけど」
「ちょっと田村さん！ へえ、早押しボタンじゃん。
あっちに持っていかないの？」
「壊れてる。伊沢が押しすぎた」
なんて、昔のことだけど。
隣にいた田村さんはなんとなくわかってるっぽいからいいけど、須貝さんは伊沢さんと深い親交があったことなんて少ししか知らないからへえ〜と言ってこれまたボロボロの本を取り出した。
「これ、現役でAちゃんが使ってた雑学関連の参考書？」
「やっば。そんなボロボロだっけ」
「まあ……QKと関わっていく上で何かと読んでたし」
「Aちゃん、真面目なんだね」
急に褒められたから心臓がドキってした。
須貝さんのナイスガイの笑顔で言われたらヘトヘトになっちゃうよ…………なんてネタで思ってたら、田村さんが髪をぐちゃぐちゃに撫でてきた。
ほんと、忙しいと言いつつ優しい男だな。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 252人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぷよーこ(プロフ) - 最初の頃にリクエストした『鶴崎くんのかわいいお話』ありがとうございました。これからも、書きたいものを無理のない範囲で書いていってほしいなと思っています。これからも応援してます(*≧∀≦*) (2019年1月10日 23時) (
レス) id: 53d0fc1d02 (このIDを非表示/違反報告)
もも - そうなんですか…もっと真白さんの作品を見たかったけど、しょうがないですね。 じゃあ…男子たちの取り合いでお願いします。 悲しいけど、私はいつまでも待ってます！ (2019年1月2日 21時) (レス) id: 172f64fb94 (このIDを非表示/違反報告)
もも - あと、私自身がクッキーを作るのにハマっていて… 再びリクエストさせてください… 東大王の男子4人と付き合っていて、カフェを営んでいたら…っていうのか見たいです。よろしくお願いします。 (2018年12月29日 7時) (レス) id: 767566c530 (このIDを非表示/違反報告)
もも - 妄想が異常なほどに膨らんでくるww 東大王の男子とデートするの楽しいんだろうな…(リクエストです) 作者さんの小説、大好きです！ *光ちゃんとお話(胸が小さいのがコンプレックスの主人公が相談する) *男子4人に取り合いされる (リクエスト2です) (2018年12月29日 7時) (レス) id: 767566c530 (このIDを非表示/違反報告)
もも[砂川さん推し] - 東大王の男子との交際秘話では、男子4人が主人公とどこで会ったのか、結婚したらとかそんな感じです。松丸くんのお話では、主人公との交際秘話をひたすら語るというお話です。きっかけとかお互いの好きなところとかを話すという話です。分かりにくくてすいません<○> (2018年12月17日 18時) (レス) id: 767566c530 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
