届いた ／光 ページ32
.[短編集] くいず じゅんびちゅう !の［距離］の続き
「……あっ」
カチカチとノックをしていらない紙に雑にくるくる円を書くが、先からインクが溢れることはなく紙に変な痕が残るだけだった。
ついに、終わった。
達成感よりも虚しさに近い感情だった。
「Aちゃんとの戦い終わっちゃったあ……」
書いていた資料なんてそっちのけで机の上に項垂れると母親に苦笑された。
遠くに放っていたスマートフォンを取りに行きAちゃんの連絡先の探す。
そして、すぐにメッセージを送信する。
おかしい話、こんなこと後ででもいいのに。
そんなにAちゃんのこと気になってたんだなと思うと自分でも笑ってしまう。
勝負は私が勝っただろう。彼女から未だに連絡はきていない。
嬉しいけど、Aちゃんと関わる理由がなくなってしまうなあ。
葛藤していると手元にあったスマートフォンが音を鳴らす。
確認すると「少しだったのに！ 負けた！！」と元気なメッセージが送られていることに気づく。Aちゃんだった。
気づくのはやいなとか、あとちょっとだったんだなとか、最近連絡取れなくて忙しかったんだなあとか色々考えているが、返事をもらえたことがとてつもなく嬉しかった。
メッセージに既読をつけると連続でバイブするスマホにびっくりしておそるおそる画面を見ればAちゃんから電話がかかってきた。え、え、え、心の準備がまだ。
「もしもし？」
「もしもし……？」
「突然ごめんね。報告きちゃった〜って思って。おめでとう！」
「ありがとう！ でもAちゃんもあと少しだったんでしょう？」
「あとちょっとだな〜って思いながらペン使ってたからね、勝てると思ったのに」
「今日の書類を書かなかったら負けてたかも」
「書かなきゃよかったのに〜」
電話越しにあははと笑う声がよく聞こえて、自然と口角が上がる。
やっぱりAちゃんかわいいひとだな、素直で、いい子だなあ。
と、思いながら他愛のない会話をしていると、
「今度遊びに行きません？」とお誘いを受けた。
聞けばこちらの方に用事があるみたいでどうせならとのことで。
もちろん、大丈夫なんですけれど！ 勝負で関係が断ち切らなくてよくて、嬉しくて！
こんな、友達みたいな会話、Aちゃんとできるようになってよかったなあ。
気持ちが届いて、よかったなあ。
遠い未来を心待ちにしてしまう今日でした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 252人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ぷよーこ(プロフ) - 最初の頃にリクエストした『鶴崎くんのかわいいお話』ありがとうございました。これからも、書きたいものを無理のない範囲で書いていってほしいなと思っています。これからも応援してます(*≧∀≦*) (2019年1月10日 23時) (
レス) id: 53d0fc1d02 (このIDを非表示/違反報告)
もも - そうなんですか…もっと真白さんの作品を見たかったけど、しょうがないですね。 じゃあ…男子たちの取り合いでお願いします。 悲しいけど、私はいつまでも待ってます！ (2019年1月2日 21時) (レス) id: 172f64fb94 (このIDを非表示/違反報告)
もも - あと、私自身がクッキーを作るのにハマっていて… 再びリクエストさせてください… 東大王の男子4人と付き合っていて、カフェを営んでいたら…っていうのか見たいです。よろしくお願いします。 (2018年12月29日 7時) (レス) id: 767566c530 (このIDを非表示/違反報告)
もも - 妄想が異常なほどに膨らんでくるww 東大王の男子とデートするの楽しいんだろうな…(リクエストです) 作者さんの小説、大好きです！ *光ちゃんとお話(胸が小さいのがコンプレックスの主人公が相談する) *男子4人に取り合いされる (リクエスト2です) (2018年12月29日 7時) (レス) id: 767566c530 (このIDを非表示/違反報告)
もも[砂川さん推し] - 東大王の男子との交際秘話では、男子4人が主人公とどこで会ったのか、結婚したらとかそんな感じです。松丸くんのお話では、主人公との交際秘話をひたすら語るというお話です。きっかけとかお互いの好きなところとかを話すという話です。分かりにくくてすいません<○> (2018年12月17日 18時) (レス) id: 767566c530 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
