金糸雀 ／川上 r ページ29
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「川上さんとお出かけ！」
「ただの買い出しついでだけどね」
「つれないこと言わないでくださいよ〜」
そういうことだ。
買い出しを口実に呼び出したAさんは、満開になっている桜の花弁を春風を真に受けて「すっかり春だね！」とトンホワン色のカーディガンをたなびかせていた。
春の似合う女性だなあ。
「必要なものは？」
「伊沢さんから頼まれたものと河村さんから頼まれたもの」
「手分けします？ 私はこっちで──」
「いや。2人で行きましょう」
こっちを見るAさん。言いたいことはわかる。確かに効率は悪いが、そしたら俺が買い出しに行った理由がなくなる。ビジネスだけど。そういうのは置いといて。
でも、何か訳ありな風に余白をあけて喋っているとAさんも察したように「わかった」と首を縦に振った。多分、俺の思惑には気づいていない彼女は僕の手から買い出しリストを取ると苦笑した。
「ほんとにこれいるの？」
指をさしたのは昔に期間限定で販売されており、今は販売停止中のはずだ。その昔に、Aさんが河村さんに無断で食べたお菓子。
そんなこともあったなとしみじみと思いだしているとお店についていたようだ。
「河村さんに恨みでもかってるのかな」
「最近河村さん悩んでたよ。Aさんが言うこと聞いてくれないって」
「メガネとっただけだよ」
「それだって」
笑い声に愛しさを覚え、無意識に頭に伸ばした手を見て、ひっそりと引っ込める。
何をやろうと思っていたんだ。答えはわかっているのに、答えを出そうとは思わない。……それが、俺の答えだった。
彼女にはたくさんの人が常に隣にいる。
幸せ者だ。酷く憎まれることもなく、苦しいほど愛されることなく、上手に生きてきた彼女は俺が噛み付いてでも欲する何かを持っていた。
不意に、手を繋がれた。
「は？」
「手、冷たっ」
「あの、Aさん」
「私迷子になっちゃうから、川上さんと手繋いでないと！」
納得したふりをした。
本当は彼女と俺の異変に気付いているに違いない。気付いてて、そんなことをするのだ。
言葉を借りるなら小悪魔。
そんな嫌なひとを目で追うようになったのはいつからか。確かにそれは尊敬の眼差しだったが、春風に吹かれた彼女は、とても儚かった。
そんな彼女を、
なんて淡い欲望は胸の内にしまって。
強気に引っ張った小さな手を優しく包み込むと、弱い力で握り返され舞い上がった心も、今は忘れたふりをする。
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ぷよーこ(プロフ) - 最初の頃にリクエストした『鶴崎くんのかわいいお話』ありがとうございました。これからも、書きたいものを無理のない範囲で書いていってほしいなと思っています。これからも応援してます(*≧∀≦*) (2019年1月10日 23時) (
レス) id: 53d0fc1d02 (このIDを非表示/違反報告)
もも - そうなんですか…もっと真白さんの作品を見たかったけど、しょうがないですね。 じゃあ…男子たちの取り合いでお願いします。 悲しいけど、私はいつまでも待ってます！ (2019年1月2日 21時) (レス) id: 172f64fb94 (このIDを非表示/違反報告)
もも - あと、私自身がクッキーを作るのにハマっていて… 再びリクエストさせてください… 東大王の男子4人と付き合っていて、カフェを営んでいたら…っていうのか見たいです。よろしくお願いします。 (2018年12月29日 7時) (レス) id: 767566c530 (このIDを非表示/違反報告)
もも - 妄想が異常なほどに膨らんでくるww 東大王の男子とデートするの楽しいんだろうな…(リクエストです) 作者さんの小説、大好きです！ *光ちゃんとお話(胸が小さいのがコンプレックスの主人公が相談する) *男子4人に取り合いされる (リクエスト2です) (2018年12月29日 7時) (レス) id: 767566c530 (このIDを非表示/違反報告)
もも[砂川さん推し] - 東大王の男子との交際秘話では、男子4人が主人公とどこで会ったのか、結婚したらとかそんな感じです。松丸くんのお話では、主人公との交際秘話をひたすら語るというお話です。きっかけとかお互いの好きなところとかを話すという話です。分かりにくくてすいません<○> (2018年12月17日 18時) (レス) id: 767566c530 (このIDを非表示/違反報告)
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