おはつ /須貝 ページ6
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「Aってどんな子?」
「えっ、須貝さん会ったことないっけ?」
「ないんだよ〜! 伊沢くんが楽しそうに話すんだけど、その伊沢くんが会わせてくれない!」
「伊沢さんAちゃん大好きだからね」
そんなの態度見てたらわかるよ〜!
僕も大概撮影にいる方だとは思っていたけれど、こんなにも会わないもん!
けど、Aさん? Aちゃん? はわりと気分屋さんらしく、
来る日も時間も適当らしい。伊沢によるとね! 僕は会ったことないんですよ!
僕も会いたいです!!
「須貝さん手だすでしょ! とか言いそう」
「かわいい子ならもちろん〜?」
「ほら。でも、須貝さんもAちゃんとお話しただけでときめいちゃうかもね」
「気になるんだけど! 今日とかどうなの?」
「今日撮影することは伝えてるから可能性はあるかも」
「気が向いてくれ〜!!」
「心配してなくても会えるよ。わりとすぐに」
そのとき、ガチャリと玄関の方から外出していた伊沢が帰ってきた。
あいつがいないと撮影始まらねーんだけど、撮影前にスマホをいじっててちょっと出てくると外に行ってたんだよな。
でも、ふくらさんはそれをわかっていたらしく「よし、須貝さん1人動画撮ろうか」と準備をすでに終えて言った。ので、先ほど動画を一本取り終えたばかりだったりする。
しかし、伊沢が入ってこない。
ふくらさんに目配せすると「行ってくれば?」と他人事のように言うのでしょうがないので僕が重い腰をあげることにします。
「伊沢さん? 大丈夫?」
「来なくていいよ〜! 全然だいじょっ、いたっ」
「えー平気じゃないでしょ。向かうよー」
「あ、ナイスガイの須貝さんだ!!」
「ほえ? どうも、ナイスガイの須貝でーす! ってえ? 誰この子?」
「Aです! 伊沢さんのおともだもごもご」
「名乗らなければ知ることはなかったのに……!」
口を押さえられてバタバタするA……ちゃん。
まさかの初対面がこんな形になった。後から聞くと伊沢もずっと隠し続ける気はなかったらしい。
ただ、「Aちゃんが最近須貝さんのモノマネするからそれが収まったら紹介する予定だったんですよ……いやAちゃんが取られるからとかそんなんじゃないです。まじで」と伊沢は語ったので、僕は真似っこをするAちゃんを想像してにやけてしまった。
いや、Aちゃん。思ったよりもかわいらしい女性です。
これは伊沢が夢中になる理由も分かる気がしました。
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