どきどき /河村 ページ4
.
「河村さん」
「はい」
「めがね」
「……はい」
「…………」
「なんか言ってよ……」
僕の目の前にいるのはQKの癒し、Aちゃんです。
……嘘です。僕はAちゃんと会うときドキドキしちゃいます。
いつも緊張しちゃうんですよね。年下だからでしょうか。
異性だからってことはないはずなんですけど。
そんなAちゃん、今僕のめがねで遊んでおります。
いや、あのー……僕のめがねかけてるAちゃんもなかなかだと思います。
……何考えてるんだろ。
「ぐわんぐわんする〜」
「度があってないんですよ。ほら、返してね」
「ん?」
「ん? じゃないんだよ……あのねぇAちゃん」
「ねえ! 河村さん! めがね似合ってる!?」
「うん! 似合ってる! 僕の話聞いて!」
それでもわーいと喜ぶAちゃん。
幸せそうにするから僕の言葉も唾と一緒に飲み込む。
自然につられる口角にあがりように、僕もちょっとびっくりするのだ。
でも目の前が見えないと困るので返してとお願いすると、目をこすりながら渋々僕のめがねを渡してくる。
「ほっ」
「河村さんからかうと面白いから好きだよ」
「えぇ!? いや、え?」
「ん?」
首をかしげるAちゃん。
この無垢な瞳に見つめられると何も言えなくなるんですよね。
うーん、僕告白をさらりとされたけれど、Aちゃんにとっては微塵も考えてない言葉なんだろうなあ。
これAちゃんのペースに乗せられたら負けだなって感じ。
でも、伊沢さんに自慢してこようかな。
と、思った矢先に伊沢さんの帰宅の音が聞こえる。
「ただいま〜」
「伊沢さーん!!」
「おーAちゃんなんかテンション高くない?」
「さっき河村さんとお話してたからかなー」
「え? 河村さん?」
「なんで伊沢さん僕に殺意向けました?」
Aちゃんが僕のことを出すたびに少しだけ嬉しくなる。
こんなの単純な河村拓哉で良いのでしょうか。
とりあえず、撮影が始まるみたいです。
いつの間にか僕とAちゃんしかいなかった部屋に人が入っていきます。
いざ、撮影が始まるとき、Aちゃんは僕の元にひょこひょこと寄ってきました。
「どうしたんです?」
「がんばって!」
わあ、クラッシャーだ。やっぱりAちゃんと話すとドキドキします。
……この言葉だけで、なんとなく心が浮くのでやっぱりちょろいかもですね。僕。
.
227人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ