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「河村さん、お酒合ってる？」
「合ってる！ Aちゃんはジュース何がいい？」
「これかな！」
好みのお菓子や家に不足しているアイスなんかを購入しコンビニを出る。
夜風は生ぬるくて、めずらしく半袖でも外に出れる気候だ。と、思ってAちゃんの姿を捉える。
Aちゃんは薄いカーディガンを羽織って萌え袖モード。かわいい。
「河村さんと2人でお出かけなんて初めてじゃない？」
「オフィスからは近いけどねー。2人は初めてかも」
「写真撮ろう」
え、と声をもらしたときには遅く腕を引かれる。
すると、Aちゃんの古いスマートフォンに僕たちが一緒に写り、親指を画面にタッチしてカシャッと音を鳴らし、写真を撮った。
「暗いなー」
「今寝起きだから急は辛いよ」
「急な写真を撮ってみよう大作戦」
「なにそれ」
そうやって夜中の帰路をのんびりと歩いていると、家に帰ってくる。確か2時だった時刻はすでに3時半を回ろうとしていた。
「ただいまー」
「まだ寝てるよね」
「寝てるよ。こっから何時間コースかな？」
「僕の話が尽きるまで。Aちゃん明日は？」
「明日っていうか今日？ 河村さんに付き添いますよ」
扉に寄りかかりながら靴を脱いで整える。
鍵を上下しっかりと締めて家に入り込むと、僕たちが座っていた場所に須貝さんが乗っているのが見えた。
様子を見て、空いているところに座り込む。
Aちゃんは伊沢さんの近くにあるぬいぐるみをひょいっと取ってくると僕の近くに座ってジュースの蓋をカチカチと開け始めた。
どきどき。Aちゃんの近くにいるのはいつも緊張が走る。
でも、今は眠気もあるからいつもよりはマシなのかな。
河村拓哉は余裕のある男です大丈夫です。
「さて、朝まで河村さんは何話してくれるのかなー」
「Aちゃんは僕の話についてこれるかな」
「博識な話をされたらどうかなー。でも、河村さんに付き合うよ」
ふふ、とこぼしながらぬいぐるみを抱えながらお菓子をつまむAちゃん。
僕はカンをぷしゅっと開けて一口目をつける。
外は真っ暗で、良い子はもうおやすみの時間。
他のライターの寝息をBGMに、僕とAちゃんは夜更けまで話し込むのでした。
途中、話の流れで送られてきた2人で撮った写真。
静かにロック画面にしたのは内緒の話です。
もちろん、深夜にこっそり出たのも内緒なんです。僕たちだけの内緒の話でした。
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