クイズ! /伊沢 ページ1
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「クイズします!」
「え、なんか元気じゃん」
日が真上に上がった時刻の頃、無性に暑い部屋の中で大きく手を振りかぶるAちゃん。
先ほど川上にちょっかいをかけて怒られたばかり。
まあ、反省の色を見せていないのは怒られた後すぐ買い出しから帰宅した河村から奪い取るようにアイスを取るAちゃんの様子で目に見えてわかるのだが。
そんなこんなでいつもは振り回していたが今日は振り回される側になりそうだ。
川上も河村もここにきた時点でそれに気づいたらしく、苦笑したのをAちゃんが嬉しそうにしていた。なんてやつだ。
「伊沢さん問題出して!」
「うーん……じゃあねえ」
突然問題を出してって言われたからびっくり。
近くにあったホワイトボードとペンを手に取って漢字一文字を書き出す。
河村と川上も首を傾げていて、ちょっとおもしろい。
「『隙』、これなんて読む?」
「これ読めばいいの?」
「伊沢さん、そこまでして言わせたいんです?」
「必死さに拍手できるレベル」
Aちゃんは簡単すぎて2度俺の顔を見たが、頷くと不安そうに周りを見る。
なんでよ! 言ってくれるだけで済むよ! たった二文字だよ!
なにも企んでないよ!!
「いい?」
「いつでもいいよ! 答えてみなさい!」
すっと息を吸うAちゃん。
そこから吐き出される二文字に、少しでもどきりとしてしまうのだろうか?
本当は止めたいはずの河村と川上も呆れちゃって
今日撮る分の動画の準備をし始めちゃっている。伊沢も動けよって視線が痛い。
これ終わったら手伝うからちょっと待って!
「いきます!!」
「どうぞ!」
「──ゲキ!」
瞬間、川上が吹いた。俺の乙女心傷つけないでください。
でも、答えが予想外すぎて俺も吹きそうだった。つらい。
「ん〜〜〜!! 正解! 正解だけど違う! 惜しい!!」
「三択の中からゲキを選んだAさんを褒めたい」
「えーっと! じゃあ、ゲキは音読みだから訓読みで!」
「ひま!」
「そうじゃないよおおお!!」
「Aちゃん悪女じゃないですか〜〜」
「悪女にしないでください河村さん!」
項垂れる俺を川上が慰める。その優しさが胸にしみるよって言ったら軽く苛まれたけど。
こんな日常ばかりの俺らだけど、そんなのも悪くないよなーって思うけれど。
でも、ちょっと悔しい。リベンジします。次は絶対に言わせてみせる!
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