はじまり ページ49
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「えっ？！ 部屋の片付けって同居の準備だったの？！ て、てか！！ もう同居始めてたの！？ で、結婚？ プロポーズ？ え？？」
「助けて川上さーん」
「今までの報いやな〜」
「僕なにもしてませんって！」
質問責めになる僕を見てにやにやとする川上さん。川上さんは僕たちのことをずっと見守っててくれたし、祝辞もありがたく頂戴した。こうちゃんだって、僕たちのことをあんまり気づいてなかったけれど取り持ってくれたのは確かだ。
「ようやくですか」
「河村さんが一番に気づきましたね」
「俺も気づいてたよ？ 泊まりからね！」
河村さんはすべてを見透かすようだったな。Aちゃんとの意見は合わないってところ、実は相談役に回っていたんじゃないかなんて密かに考える。須貝さんも察しが悪い方ではない。どこかのタイミングで気づいて茶化していたのだろうか。こら。
「式楽しみだなあ」
「まだ先になりそうです。Aちゃんのお隣の先約はいただきました」
「じゃあ俺次！」
「えっ」
「はは、じゃあ次取っておこうかなあ」
「ひ、ひと枠限りだから！」
まるで母親のように両方に寄り添うふくらさんに、先輩ヅラする伊沢さん。どちらも僕たちに必要不可欠な人物だ。そして、三守さん。三守さんにはなんかいっぱい惚気た気がする。まじごめん。
「6月に鶴崎も結婚してるしね。タイミングばっちし」
「これ否定していいの？」
「い、いいんじゃないかな……？」
ウインクしておっけーサインを出す水上さんと、困惑する鶴崎さん。仲が深まったのは確実に彼らのおかげだ。
オフィスの中、すぐに報告に上がると、伊沢さんをはじめとして大はしゃぎとなった。これから来るであろうAちゃんの姿をみんなが心待ちにしながら今日はゆるい仕事のみにしようと、ケーキを頼んだふくらさんがニンマリと笑っていた。
その時、玄関で鍵が開く音がした。
「こんにちは、祥彰くん！」
「こんにちは、Aちゃん」
「わー！！ おめでとうー！！」
「え、みんな知ってるの？ 早すぎ」
びっくりはするも頬をピンクに染めて照れるAちゃんがかわいらしい。ドクドクと鳴る心臓が本物なら、この気持ちも嘘をつかない。後ろからそっと抱き寄せて色づいた頬にキスをすると、刹那の静寂後の大騒ぎは当然であった。
これからもずっと幸せな日々を暮らそう。
僕たちだけにしか作れない未来がきっとあるから。
ね。これからよろしくね、僕のお嫁さん。
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