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これは彼女の存在が認知された某動画である。
「はいどうもQuizKnock編集長の伊沢です！」
「ライターの水瀬ですー」
「……初登場！」
「水瀬さん普段は裏方をやっているのですが、今回の動画はちょっとね、この方が一番ふさわしいんじゃないかと思いまして」
「クイズやらせても強いんだけどね！」
「そうでもありますよ」
「謙遜なさって……ん？」
「……今日は皆さんからいただいた質問の中で特に多かったのを答えていこうかなって。まあ勉強関連のご相談がとても多いんですね」
「今日アンサーを出すのは伊沢、水瀬、僕福良って感じです」
これがはじまるきっかけは、今までの質問の処理に困っていたQuizKnockの裏方参謀、水瀬Aであった。ラジオ感覚で答えていけば？と案を出し、長い時間の中で答えた質問の区切りの時間は後で概要欄に私が貼る、と積極的な姿勢を見せたからであった。
「一番多かったのは言ってしまうと『頭が良くないので勉強ができない』だったんですよ」
「深刻です」
「と、言いますと？」
「私らはとりわけ頭がいいわけじゃないんですよ。あ、山本くんらが頭悪いって言ってないですよ？」
「おーい画面外の山本笑うな〜」
「で、私山本くんと同じ学校に通ってるんですけれど、初めから頭がいいわけじゃなくてなんなら高校では学年最下位のテスト順位だったんですよね」
「意外〜」
「高校時代の水瀬、高1で留年しかけたって話聞いたわ」
「しかけた。でも先生っていう強い味方がいたよ。大切なのは頭が悪いから勉強はできないとか曖昧なことじゃなくて明確なことを地道にこなすことだよ。頭が悪いから、はほんとにやってるの？って思っちゃう。
学ぶために抗える気があるなら、いくらでも自分は変えられる。点数低くて周りに夢をばかにされるんだったらダイレクトメッセージやリプ返してるときにでもおいでよ。いつでも私たちがいるよ〜。では次──」
彼女はざっくりと話したが、味方がいるというのを確かに伝えて進行した。
たちまちSNSでは彼女の存在が認知された。中には高校時代の彼女を晒す者もいたが、隣のAちゃんは「ばかだったもん。今こんなのしてるのがあほらしいんだよ」と笑っていた。
……時々、この動画を見て僕も元気をもらう。
今は僕だけじゃない、Aちゃんも、ほかのQKのメンバーもいるんだ……って。
こんなこと誰にも言えないけどね。
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