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僕はAちゃんの後頭部を抑えて寄せるとAちゃんは僕に思いっきり寄りかからないようにソファの背もたれにかかっていた手の力を無くす。そのままキスをすると抵抗をしたAちゃんの腰を掴んで逃げらんないようにする。
……何やってんだろ、僕。
一瞬の隙を見せた時、Aちゃんはねじって僕から少しの距離をとった。顔を真っ赤にして、手を口に当てて、驚いた顔をしてじっと僕の方を見ていた。……やけに白々しくて、この前を振り返ったけれど、そういや初めてじゃんか。え、こんな勢いでいいものなの。我が身を振り返って急に恥ずかしくなった僕はソファから雑に降りて頭を下げた。
「ご、ご、ご、ごめんなさい！！」
「……へ、いや……あの……」
「た、たぶん。僕ちょっと。水上さんとか鶴崎さんに……し、嫉妬して？ SNSに投稿すればAちゃんも一瞬僕の方見るかな？ なんとかかんとか……」
「……あの……」
「えっと。本当にごめんなさい……僕……」
「山本くん」
「……っ、Aちゃ」
僕を呼ぶ声がしてバッと顔を上げると、Aちゃんの顔が見えた。変わらずにじーっと見つめるAちゃんの次の言葉に時間はかからなかった。
「あ、あんまり気にしないで。むしろこんなになる私がおかしいよ……」
「そんなことないじゃん……だったら僕だって顔熱いし……」
「で、でも、私たち付き合ってるよ？ ち、ちゅーくらい、みんなして……」
「……」
「……」
「うわ、やっぱ僕キスしたよね」
「された」
「……手首痛くなかった？」
「ちょっとだけ。でもすぐ治るよ」
「……」
「……」
「……ごめん……」
「だ、だから気にしないでって！ 山本くんは私の彼氏だから！！」
再度このやり取りをあと3回ほど繰り返してようやく落ち着いた相互の胸の高鳴り。頭がガンガンしてきた……とりあえず今度会った時に水上さんとか鶴崎さんにはごめんって謝ろ。なんでって言われても謝ろ。冷蔵庫からお茶を取り出してコップ一杯注ぐと、隣からAちゃんもコップを出してくる。柄はお揃いのコップ。なんだかほっこりしてしまったが、先ほどのことを思い出すとまた顔が熱くなる。
「思い出さんでよ」
「……わかる？」
「山本くんだからわかる。伊沢さんだったらわかんないかも」
「んも、直後からそう言うし」
「ごめんって……またちゅーしないとわかんないかなあ」
「…………本当にごめん……」
「山本くん面白すぎんか」
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