年明け ページ21
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赤、黄、青と茶の絵の具をぐちゃぐちゃにしたようなぼんやりしたものが、年明けの一番初めに見た空の色だった。耐えきれないくらい夜風は冷たくなっていて、1分ほど新しい空気を部屋の中に取り込んで、すぐに窓を閉め切ってしまった。目の前には机に伏せたままぶかぶかのちゃんちゃんこを着て寝ているAちゃんの肩を叩く。
「Aちゃん？ 起きてー？」
声かけで起きないので少し揺すると、ううんと小さな唸り声が聞こえた。そのまま顔を上げて大きなあくびをすると、「おはよ」とにっこりとした。つられてあくびをすると、馬鹿にしたように笑っていた。
「ねーむいねん」
「風邪引いちゃうから！ 布団ひいたからあっちで寝よ？」
「やあだ」
「やあじゃない」
「山本くんおらんと悲しい」
ほら、突然デレた。寝ぼけ具合がもしかしたら、なんて思ったけれど、不覚にもときめいてしまった。なんだかふにゃふにゃしてて、いつものAちゃんも好きだけど、ふわふわした女の子っぽくてかわいい…………いっけない。また寝ようとしてる。こらこら。どうせ寒いって言うんだからお布団に行きなさい。
えーっと言いながら立っている僕に手を出す。軽い身体を引っ張り上げると、Aちゃんの背中を優しく押しながら布団へ向かわせる。そのまま柔らかな布団へダイブすると、「あ〜」と言いながら僕の腕をぎゅっと握りしめた。小さな手が二つ、僕を逃さなかった。
「なに、どうしたの」
「やなんだって」
「僕、服着替えてないよ〜」
「こんまま着替えよ？」
「もう、着替えるからちょっと待ってて」
駄々をこねるAちゃんの頭をそっと撫でると力がスッと抜けていくのを感じる。僕はすぐに寝巻きに着替えると、Aちゃんの元へ行く。近くに寄ってみると、安らかな寝息が聞こえた。僕はため息をついてしまったが、安堵のため息に近かった。でも、なんだかむずむずして胸の内に収めさせると、ドキドキが高まってきた。耳元でAちゃんの生きてる音が聞こえる。それだけで、息が苦しくなってしまうほど、声が出てしまいそうになるほど嬉しかった。
今年もたっくさんいろんなことあったけれど、僕はAちゃんと出会えたことがいっちばんの幸せだと思っているよ。今年も、頼りない僕だけど仲良くしてね。
……この状況で「好き」だとかキスだとか、できたらロマンチックだったのに。寝ている彼女相手なら僕にも勇気くださいよ……。
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