幸せ ページ3
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僕らが出会ったのも偶然で、どちらとも早稲田で、どちらともふくらさんからQuizKnockというメディアに誘われた。
僕らはキャンパスも違うので、会うことがない。
共通していることはWQSS所属あること。
なので、基本的な知識ならどちらの知識も備わっている。学部や文理系は特別に強い、とだけであって、例えば、僕の情報物理の知識やAちゃんの細かい心理学の知識だってマニアックなクイズでしか出ない。
Aちゃんの知識が幅広いと言ったら限りない。言うなら、いつかの番組に出演していた水上さんが、苦手なジャンル:なし とテロップが貼られていたみたいに。あくまで、僕の主観。
興味のあることだけ。
彼女の周辺はそうやって生きている。
だから、時々不安になる。
彼女の気まぐれで、隣にいるのではないかと。
Aちゃんは癖のある人物の1人だ。
(……QKが癖だらけと言うのは置いておいて。)
何もない自分を選んだのは、本当に彼女の気まぐれで、いつかはバッサリと切られてしまうのではないかという衝動に駆られる。
もちろん、相談したらいいんだろうけれど。
僕にも言いづらいことってあって、彼女にも言いづらいことってあると思う。2人とも控えめだなって須貝さんに言われたことがあるけれど、本当にそうだと感じる。……積極的になって欲しいという訳ではない。……だから、相談って難しいなと日々感じる。
でも、彼女が笑った瞬間は、僕が嬉しくなることの一つに最近はなっている。
心底嬉しそうに笑うのだ。河村さんにクイズで押し勝った時とか、川上さんと語学について語っている時なんか、僕に「おかえり」って言うときなんか。
好きな人って、夢中になれるんだ。
陸上やクイズももちろん楽しいし、夢中になれる。でも、人って実感が湧かなかった。だから、恋愛って難しいなとずっと思っていた。好きな人が好き。僕の場合、それで通してきた。
Aちゃんと出会って、何かが変わった気がする。人に対しての感情が温もりを感じられるようになった。こんなに気持ちが揺らぐことがあるのだと知った。
単純なだけかもしれない。
でも、雑学だけじゃ知り得なかった新しい世界を、Aちゃんは切り開いてくれた気がする。
今日もまた、彼女の笑顔が見たくて連絡を入れる。これほどまでに溺れるなんて、僕も思ってなかったな、と、撮影後、隣にいる三守さんに語った。「行くね」とスタンプと添えられた簡易的なメッセージに、僕も頬が緩むのだ。
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