第32話 ページ33
Aside
痛い
痛い、とても痛い…初めて、至さんに叩かれた
「……ッ……」
「あ…」
ジィン…と痛む頬をおさえ、私はぺたんと座り込んだ
至さんは私を叩いた手を見つめながら震えている
至さんは悪くない
私は至さんに対する罪悪感と申し訳なさ、いろんな感情がぐるぐると脳裏に過ぎった
「…A」
「ッ！！」
至さんはそっと私の頭に手を添えた…でも、それが恐ろしく感じた私は手を払いのけてしまった
至さんも私と同じく床に座り込んだ、どうすればいいのか分からない、そう言いたげな表情だった
「…帰って、至さん」
「A、ごめん…俺、！」
「これでおあいこにしましょう
至さんは私を叩いた、私も至さんの手を払いのけた…それでいいの、これで終わり」
「A、待ってくれッ」
「ッお願い帰って！！私が辛いの…これ以上至さんと一緒にいるのが辛い…ッ」
私の言葉に至さんは固まった
我ながら酷い言葉だと思う、でも至さんにはこのくらい言わないと離れて貰えない
私の犠牲で至さんだけじゃなくいづみさん達も救える…これでいいんだ、これで…
そう思っていたのに
私は至さんに優しく抱き寄せられた
「…何、してるの…？離して」
「嫌だ、離さない」
「もう終わりだって言ったでしょう？
これ以上至さんを嫌いになりたくないの…」
「嘘つき、俺の目を見てちゃんと言える？それ」
「…ッ」
至さんはぽんぽんと私の後頭部を撫でながら、さっきより強めにギュウっと抱き寄せて来た
「疲れた表情をしていたのなら謝る、ごめん
でもそれは理由があって、少しでもAの傍にいたいから仕事を早めに終わらせてるんだ
紬の事で疲れている訳じゃない、信じて欲しい」
…やめてよ
そんな風に言われると離れられなくなる、至さんをもっと愛おしいと思ってしまう
「俺はAが好きだ、愛している、この世の誰よりも
大切な人だからこそ守らせてほしい…それがいい男の役目だろ？
Aが俺を守ろうとして必死で嘘をついているのは分かった…でも、例え嘘でも紬の元に帰るだなんて言わないでくれ」
「至さん…」
「頬を叩いてごめん、痛かっただろ？
いくら冷静さを失っていたとはいえ、愛する人を叩くなんて最低だよ俺」
至さんは私の赤くなった頬に手を添えた
その瞬間、私は緊張感が切れたのか一気に涙があふれ出た
「ごめんなさい…ッごめんなさい、至さん…ッ！！」
ああ、私はやっぱり、この人じゃなきゃダメなんだと
改めて感じさせられた
.
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牡丹(プロフ) - あきさん» コメントありがとう御座います！好きだなんて…嬉しいです＾＾ (2018年7月13日 23時) (
レス) id: d76ce13e27 (このIDを非表示/違反報告)
あき - 好きです！ (2018年7月5日 12時) (レス) id: 61b25e2c24 (このIDを非表示/違反報告)
牡丹(プロフ) - まるさん» コメントありがとう御座います＾＾更新楽しみにして下さってとても嬉しいです！頑張りますね！ (2018年6月27日 18時) (レス) id: d76ce13e27 (このIDを非表示/違反報告)
まる(プロフ) - 更新ありがとうございます！楽しみにしてました！これからも頑張ってください！ (2018年6月17日 18時) (レス) id: 26740ad293 (このIDを非表示/違反報告)
牡丹(プロフ) - あきさん» コメントありがとう御座います！更新お待たせしてしまって申し訳ないです… (2018年6月17日 14時) (レス) id: d76ce13e27 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：牡丹 | 作成日時：2017年6月14日 3時
