３ ページ4
.
あの後焼肉をたらふく食べて、村上君を破産させかけてお開き。
「え〜二人とも電車？」
「お前徒歩なん？気いつけろよ」
「いやいや、男襲って何が楽しいねんな」
笑いながら言ったのにヤスと村上君は真面目な顔をした。
「大倉は可愛えんやから気いつけんとアカンで」
「ホンマに。中性的やしな」
「んも〜、男に、ってか俺男なんやから可愛え言われても嬉しないわ」
ケラケラ笑ってみればヤスが近付いてきて少し睨んでくる。
･･･身長低いから上目遣いみたいになってんのに迫力あるんは何でやろう。
「あのさ、こないだ俺告ったよな？なのにまだ俺男やし、ノンケやし〜ってアホ言うてんの？」
「ヤス？」
「ホンマ大倉って何も分かってへん。少しは自覚持って言動しいや。･･･今日だって俺が告ったこと普通にバラすし」
「ごめん…ヤスの気持ちも考えんと」
「俺の気持ちはどうでもええねん。問題は俺がスタート切ったって事。これからまた大変な事なるで」
はあ、とヤスの漏らした吐息がドクンと心臓を波打った。
「ヤスー、終電逃がすで〜」
「そらアカンわ〜！」
ヤスはさっきまでとは違ういつものフワフワしたヤスに戻ってた。
･･･何、ヤスがスタート切ったってどういうこと？
そもそもノンケって何？
「寒っ」
お酒で暖まってた体はいつの間にか冷え切っていた。
今日は月が綺麗やなあ、なんて思いながら欠伸。
「あれっ？大倉？？」
懐かしい声に名前を呼ばれて振り返ると、ラフな格好でコンビニの袋提げてる男が一人。
「マル？！…てかパーマやめたん？」
高校時代の親友・丸山隆平やった。
マルはヤスが転校してくる前に転校していって、しばらく音信普通やったから…
なんか最近懐かしい人達とよく再会するなあ…
「大倉こそ金髪やめたんや」
「まあ、あの頃は校則破っても平気やったけど今は社会人やからな」
「そっか…どこで働いとるん？」
「Ｇ.ＥＩＨＴの営業」
「え、マジ？そんな大きいトコ入ったん？」
「そーゆーマルは？」
「保育士。そこの若葉幼稚園で」
「めっちゃ近いやん！…あ、この後ヒマ？」
マルはニッコリ笑ってコンビニの袋の中身を見せた。
「…久しぶりに飲もか。」
「俺ん家ＯＫやで」
「…や、俺ん家にしよ」
何で俺ん家がダメなのかは分からないけどマルの家にお邪魔することにした。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 32人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
