2 ページ3
.
「カルビー」
「もっかい塩タン行くー」
「お前らの頭に“遠慮”っちゅー文字は無いんか!」
「ぉん!代わりに“奢られる”ってのがあるで」
ほろ酔いのヤスがへらっと笑うと村上君の顔が怒りで赤くなっていく。
それを見た俺は慌ててカルビを村上君の口に突っ込む。
「旨っ」
「せやろ!流石高いだけあるわ」
「…もう破産覚悟やわ。食べたいだけ食べ」
「「やったー!」」
村上君太っ腹!流石!
沢山お肉が運ばれてきてテンションMAXの俺は飲むピッチが早くなる
あービール旨。肉旨。
「ホンマ、たつって美味しそうに食べるよなぁ」
仕事の時には見せへん優しい瞳を向けられてドギマギ。
あれ、村上君ってこんなに目 綺麗やっけ…
フワフワする頭でぼんやりと村上君を見つめる。
「ちょっとお二人さん、何 見つめあってんのー?」
「あ、そっか。ヤス嫉妬ー?」
からかうように言って見ればあっという間に凍る空気。
村上君はえ?みたいな顔、ヤスはすごく怒ったような顔。
あれ、地雷だったのか…
「ヤスが嫉妬、ってどういうこと?」
さっきまでの優しい瞳はどこへやら。
クレーム対応する時みたいな鋭い目にゾッとする。
「えぇー?」
「…ヤスに、告られたんか?」
うつむきかけた顔をグイッと戻され諭すように聞かれる。
早くこの空気から逃げたくて迷うことなく、首を縦に振る。
「…そ。ま、お前らの恋愛に俺が口出しする権利ないからな。仕事さえしてくれれば何やってもエエし」
ニヤッと笑われてようやく自分がからかわれてたんや、って分かった。
「もー、からかわんでや〜」
ポカポカと軽く叩く。
「あ、タン焦げるっ」
「勿体ないっ!」
「ちょ、行儀悪いわ!」
良かった。
何かよく分からんけどさっきまでのワチャワチャした感じに戻って。
「…ま、俺が口出しせえへんのは俺が関係してない時に限るけど」
焼肉食べてる時 確かに村上君はそう言った。
あの時は聞こえへんフリをした。
なら今は…?
.
32人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ