オー！マイ・ボス！−恋は別冊で−

2-7【潤】 ページ24

side 潤之介__

理緒の妹のAは昔から人懐っこくて可愛くて、俺にとっても妹のようだった

理緒が海外でヴァイオリンを頑張ると言った時は大泣きしながら応援していた
そんなAも、着実に力をつけ世界で通用するモデルへとなっていた

理緒に別れを告げられた時はAがご飯を作ってくれたり出かけようと誘ってくれたり、こんな俺を気にかけて寄り添ってくれていて、ちょっと情けないなんて思う事もあったけどそれに助けられたりもして

そんなAも突然にパリに行くと決めて行ってしまった
一人日本に残ってた俺は寂しくて、でも、そんな2人が誇らしくもあって
ニュースや雑誌で活躍を目にするのが嬉しかった

Aと姉ちゃんが同じパリにいることで、俺は姉ちゃんによくAの事を聞いていた
自分で連絡しろと言われても何故か出来なかった

そんな事が何年か続いて、この間姉ちゃんが日本に帰ってきた
そんな姉ちゃんに続いてAも帰ってきていて
何も聞かされてなかった俺は全然知らなかったから、あの時あそこで偶然会わなければ会うことは無かったのかと思うと少し複雑な気持ちになった

久しぶりにあったAは、一瞬誰だか分からなくて少しだけ戸惑ってしまった
昔からAは可愛らしい顔立ちで今でもそれは変わらないけど、今のAは綺麗が勝っていた

高鳴る胸に自分でも驚いて、分からなくて戸惑って
きっと気のせいだと思うことにした

そんな時にまた見合いの話を持ちかけられて、彼女のいない俺は断る口実に奈未ちゃんに恋人のフリを頼むことにした

何回かAの方がいいんじゃないか？と奈未ちゃんに聞かれたけど、それでも俺は奈未ちゃんを選んだ
Aには彼氏がいると思っていたし、好き好きアピールをしてくる子にこんな事は頼めないし
奈未ちゃんなら、純粋にお願いを聞いてくれると思った

だけど、Aにさっき頼んだ理由を聞かれた時、あの時俺はなんて言おうとしてた…？
よく分からないこの感情、きっと気のせいだと思ったのに、ハッとして我に返った

懐かしくて高まって、そう、きっとそれだ

結局俺はそう結論付けることにして静かに眠りについた

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