意 ページ6
『い、一応聞くけど、なんでそう思ったの?』
「えー?だって、Aさん最近すごくイキイキしてるじゃないですか」
『そうだったかしら…?』
ええぇ、気付かなかった……。確かに定時には早くSansさんに会いたいがためにすぐに帰るし、ワクワクしてたのは否めないけれど。
「アッ、無意識ですか?帰るときなんかウキウキしっぱなしですよ?」
『う、うそぉ……』
「ちなみに皆知ってますよ」
『マジですか』
「マジですよ」
「遠足前の子供みたいでしたよ、Aさん」と、にこにこ笑いながら言う彼女の言葉に、思わずデスクに突っ伏した。当たらずとも遠からず……っあー冷たくて気持ちいい。
私は彼との出会いを、そして今に至るまでの会話を思い出す。
………うーん、恋、とは違うと思うんだけどなぁ。
だって、相手は現実にいるかどうかも分からない、顔を見えない人なのに。
恋じゃないのなら、これはなんだろう。……考えれば考えるほど、頭がこんがらがってくるので考えるのをやめた。
『………き、今日はなんか緊張するなぁ……』
結局、もんもんとしたまま眠りにつくと、相変わらず白い世界に立っていた。いつもなら、声が聞こえるまでふらふらと歩いたりするが、今はそんな気分じゃない。
座りこんで頬を触れば、少し熱を持っていて、そのことに『うー…』と唸る。もう、こんなの全部彩瀬さんのせいなんだから……と小さく一人愚痴る。
こんなんじゃ、Sansさんと普通に話せないわ。
私は、確実に彼に意識してしまっていることに戸惑いを感じていた。
63人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
おたんこなす(プロフ) - めちゃくちゃ好きです。よければまたsansの新しい小説を書いていただけないでしょうか...?よろしくお願いします!!! (2021年6月12日 1時) (レス) id: cbfe92c328 (このIDを非表示/違反報告)
にぃ© - いい作品ですね!泣いちゃいました(笑) (2018年7月1日 22時) (レス) id: 59b2d19e52 (このIDを非表示/違反報告)
サトー(プロフ) - ヨタ。さん» ありがとうございます! (2018年1月3日 22時) (レス) id: 06798f4f12 (このIDを非表示/違反報告)
ヨタ。(プロフ) - あ"しゅきです… (2018年1月3日 5時) (レス) id: 8dd5c04a8d (このIDを非表示/違反報告)
サトー(プロフ) - rutiさん» 私も感動出来る小説が作れて満足です。ありがとうございました! (2017年11月10日 17時) (レス) id: 06798f4f12 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:サトー | 作成日時:2017年5月22日 22時