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結婚式をあげることを話してくれた山守さんとの会話を思い出す。
本当の恋人じゃない私と羽生さんの未来が続いて、婚約をしていた山守さんと藤田さんの未来は途絶えた。
羽生さんが生き残ってくれたことはこの上なく嬉しいけれど、それだけを手放しで喜ぶことが出来ない。
細い女性らしい身体つきの山守さんが、私のことを支えてエレベーターの外へと出してくれた。ひとまず、ベンチに座らせられるとその動きで私の目からは滴が落ちていく。
「Aさん？大丈夫？」
「ごめんなさい、山守さん。ごめんなさい…」
「どうしてあなたが謝るの。Aさんは、彼が生きてることをただ喜べばいいのよ」
私は首を横に振る。私は羽生さんが生きていることを知って、安心して、喜んだ。だからこそ、山守さんに申し訳がなかった。
「羽生くん、Aさんのこと心配してた。しばらく連絡取れてないからって」
「っ…はい」
「あなたのいつもの顔を見せてあげて。きっと羽生くんも元気になるから」
「…っ」
「それは泣いてる顔じゃないでしょ？」
山守さんの指先が、私の目尻に溜まった涙を拭い取ってくれる。目が合った山守さんも同じように泣いていて、それでいてとても綺麗だった。
山守さんは驚くぐらいに人格者だ。
たった1人生き残った男の彼女として立っている私に、お前も同じ気持ちになればよかったのにと悪態をつくことは簡単なこと。
そんなことは一切なく、ただ私に寄り添って肩を抱いてくれた山守さんは、あんなに朗らかなのにすごく強い人なんだと思い知らされた。
一瞬で感情がぐちゃぐちゃになってしまったせいで思わず泣いてしまったけれど、私は感情を仕舞い込むのが得意な方だ。
少し落ち着いてくると、涙をしまって通常通りに戻すことが出来る。
羽生さんは気づくだろうけれど、泣いている顔を見られるよりはマシだろう。
「…落ち着いた？」
「はい。取り乱しちゃって、すみません」
「じゃあ行きましょうか」
山守さんが先導して歩いていく廊下を、私は後ろからついていく。人の行き来が少なそうな奥まった部屋にたどり着くと、山守さんはその扉をこんこんとノックした。
扉の向こうから聞こえたのはいつもよりも掠れた羽生さんの声。
「羽生さん……」
「ね、大丈夫」
山守さんが私の肩を撫でて、それから病室のドアを開いた。
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ハニ(プロフ) - 更新楽しみにしてます!! (2022年8月30日 17時) (
レス) id: e49c92eedc (このIDを非表示/違反報告)
kotono3026(プロフ) - 面白くて続きがすごく読みたいです！ (2022年7月11日 7時) (レス) @page18 id: 7aa8e8b85c (このIDを非表示/違反報告)
なずな - 続きを楽しみにしています！！ (2022年5月3日 6時) (レス) @page18 id: 3993a699bc (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！ (2022年4月30日 19時) (レス) @page18 id: c5820b78bf (このIDを非表示/違反報告)
まい - こんばんは。ちょくちょくこの小説を読みに来ているのですが更新がされていないようで寂しいです…。続きはあると思ってもよろしいでしょうか？ (2022年2月15日 5時) (レス) @page18 id: 8f49d2e699 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みずたま | 作成日時：2021年11月25日 19時
