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形だけの仕事を終えて1Fのエントランスまで降りてくると、私の姿を目に留めたその人がしっかりと私のことを見つめてきた。半年に一度のペースで私を訪ねて来るその人に、私は軽く会釈をする。
「久しぶりね、Aさん」
「羽生さんのことなら言えることは何もないですよ、山守さん」
山守さんは警察を辞めた羽生さんのことをずっと探していた。その羽生さんと繋がりがあるのは私だと踏んだ山守さんが、彼のその後を追うために度々こうしてやって来る。
「羽生くんから連絡はないのね？」
「ないです」
「どこにいるかも？」
「全然わかりません」
もともと羽生さんがどこにいるのかは知らない。LINEを送れば既読はつくから、生きているんだろうことはわかる。
あの日、車内で事に及んだあと、羽生さんはひどく狼狽していた。もしかしたら、私に合わせる顔がないとか、そういうことを考えているのかもしれない。
私からすれば、『よくあること』だから気にしなくていいのに。
そんなわけで、羽生さんから連絡が来なくなって随分と時間が経ってしまった。季節が何度も変わっていくうちに、自然と昔の私に戻ってしまっているような気がする。
Aの家の娘として、何もかもを諦めている私に。
だからこそ、羽生さんと連絡が取れなくなってしまったことも、すでに諦めの境地に入っているところだった。
「あのね、来て欲しいところがあるの。今から来れる？」
「私に…ですか？」
「ええ。Aさんに来て欲しいの」
山守さんに連れて来られたのは、以前に羽生さんとやってきた藤田さんと山守さんが住んでいた自宅のマンションだった。
案内されたそこにあったのは、壁にたくさん貼られた写真や、ニュース記事。
「これ……」
「羽生くんが怪我をして、藤田が死んだ事件のことを調べてる。この事件には大きな力が動いてるのに、一向に表には出て来ない。どんなに裁きたくても、警察は手が出せない」
そんなことになっていたなんて、ひどい話だ。
でも、どうしてそれを私に教えてくれているんだろう。山守さんは私のことを真っ直ぐ見つめていた。
「だから私は、私たちの手で裁こうと思ってる。そのためには羽生くんの力や…あなたの力も必要なの。AAさん」
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ハニ(プロフ) - 更新楽しみにしてます!! (2022年8月30日 17時) (
レス) id: e49c92eedc (このIDを非表示/違反報告)
kotono3026(プロフ) - 面白くて続きがすごく読みたいです！ (2022年7月11日 7時) (レス) @page18 id: 7aa8e8b85c (このIDを非表示/違反報告)
なずな - 続きを楽しみにしています！！ (2022年5月3日 6時) (レス) @page18 id: 3993a699bc (このIDを非表示/違反報告)
A(プロフ) - 続きを楽しみにしてます！ (2022年4月30日 19時) (レス) @page18 id: c5820b78bf (このIDを非表示/違反報告)
まい - こんばんは。ちょくちょくこの小説を読みに来ているのですが更新がされていないようで寂しいです…。続きはあると思ってもよろしいでしょうか？ (2022年2月15日 5時) (レス) @page18 id: 8f49d2e699 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みずたま | 作成日時：2021年11月25日 19時
