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Aから送られてきた住所を確認しながら、帰り支度を整えていく。指定してきたのは有名ホテルの一室だ。先日あんなことがあったばかりで、まさか普通の場所で待ち合わせをするなんてリスクを冒せるわけがない。
廊下を歩いていると、見知った顔が前から歩いてきて、すぐさま頭を下げた。
「なんだ、もう帰るのか」
「藤田さん。何かありましたか？」
「ないよ。帰れっつってもさっさと帰らない羽生が珍しいこともあんだなって。今からデートか？」
「そういうのじゃないっすよ」
照れ隠しというわけではなく、これは本当にそうだ。確かに行き先はホテルで待っているのは女だけれど、Aとはそういう関係ではない。
茶化す藤田さんに笑って誤魔化す。
「そうか？俺は羽生があの子に入れ込んでるらしいって聞いたぞ」
「えぇ？あの子？」
「Aのところの娘さん。よく見舞ってやってたんだろ？」
「…あー、まあ」
俺がAAのことを疑っていることは誰にも伝えていなかった。周りに共有するには証拠もなく、下手に大事にしてしまうとAが警戒する可能性があるからだ。
数回に渡って話してみたところ、Aは精神的な不安定さはあれど、あの事件に関しては自作自演はしていないんじゃないかという方向に考えつつある。
「…でも彼女は担当した事件のマルガイっすよ？さすがにねぇ」
「まあそれだってなんかの縁だろ。俺たちはそんなに出会いが多いわけじゃないんだし、これだと思ったらがっちり掴んどけよ」
ばしばしと強い力で背を叩かれて、思わず笑うしかなかった。これ以上は面倒なので、もうそういうことにしておく。
Aのことはいい子だなとは思うけれど、俺とは歳も離れているし、そもそも許嫁だっているらしい。放っておけない気持ちは生まれつつあるが、捨てられて行き場のない猫を気にかけているような、そんな感覚が近かった。
Aはこれが最後の1回と言っていた。俺の方も、彼女が犯罪に手を染めていたわけではないと確信が出来れば、これ以降は会うこともないだろう。
指定されたホテルの、指定された部屋の前へ立つ。
呼び鈴を鳴らすと、扉の向こうから出てきたのは包帯も外れて一見は元気に見えるA。しっとりと濡れた髪にバスローブを身につけたAは病院では感じ取れなかった色っぽさを持っていて、柄にもなく少しときめいてしまった。
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みずたま(プロフ) - 竜胆さん» コメントありがとうございます！どう転ぶかはわからないですが、私もくっついたらいいなーとは思ってます。引き続きよろしくお願いします！ (2021年11月25日 8時) (
レス) id: f07c1a6963 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆 - みずたまさん» 初コメ失礼します！とても、良い話で…一気読みしてしまいましたww 立場的に無理なんだろうと思いながらも、ヒロインと羽生さんがふっついて欲しいと願う程のお話で！毎回、楽しませて貰ってます！ww (2021年11月24日 22時) (レス) @page46 id: 0323b34345 (このIDを非表示/違反報告)
みずたま(プロフ) - さっくんさん» ありがとうございます！続き更新しましたー！よろしくお願いします！ (2021年11月24日 21時) (レス) id: f07c1a6963 (このIDを非表示/違反報告)
さっくん - やー！♡続き気になるぅー!!!!!!!!!! (2021年11月23日 22時) (レス) id: 7aaa679c24 (このIDを非表示/違反報告)
みずたま(プロフ) - カンさん» はじめまして！ご指摘ありがとうございます。マルヒとマルガイ、完全に逆にして覚えてました…！修正しておきます。ありがとうございます！ (2021年11月20日 23時) (レス) id: f07c1a6963 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：みずたま | 作成日時：2021年10月27日 1時
