検索窓
今日:42 hit、昨日:86 hit、合計:190,587 hit

4-4 ページ37

どうせここで過ごす時間も限られたものだし、そこそこの治安の良さとセキュリティさえあればどこだって同じだ。私からすればそんな感じなのに、羽生さんの方があれこれと口を挟んできて、最終的に羽生さんが納得した部屋を契約することにした。

しばらく帰れていなかった実家に戻っていて、2日事務所には行けていない。その間に神崎の不正はウチさんやアバランチによって暴かれて、ニュースにもなっていた。


新居で家具の受け取りのために待機をしていた私の元に、電話がかかってくる。羽生さんだった。


『あ。もしもーし』
「わ、Youtuberさん」
『あははっ、違ぇわ』
「何か用事?」
『いんや?こっちは落ち着いたとこだから何してっかなって』
「今ねー、ベッド届くの待ってるところ」
『はあ?俺がいる時にしろよ』
「羽生さんなんていついるかわかんないじゃん」


インターホンのチャイムが鳴る。おそらくは私が待ち望んだ業者の人だ。私は携帯を耳に当てながら、オートロックを解除する。


「はーい開けまーす」
『あ、おいこら。居留守使え』
「やだ、ベッドないと寝れないんだもん」
『そうじゃねえんだって…じゃあせめてこのまま電話したままでいろ』
「相手、家具の業者だよ?」
『本当に業者だったらいいけどなあ』
「ちょっと、不穏なこと言わないで」


羽生さんが必要以上に煽るから、私もそこでようやく不安になってきた。小さい時から色々と事件には巻き込まれて来た方だ。身を守るために合気道を習わされて、それがほどほどに形になってからは頻度としては下がったけれど。
そういった時は大体が私が外にいる時だった。学校の行き帰りなんかは狙われやすくて、疑心暗鬼になっていたことを思い出す。

まさかね。私は玄関のドアを開ける。


「AAさんですね?」
「あ、そうです。すみません中に……ッ」


気づいた時には、口元に布のようなものが当てられていた。もし何かを含ませているものだとすれば、吸ってはいけない。
息を止めたまま、私はその腕を掴んで投げる体勢に入る。思いっきり床に叩きつけた。
携帯は床に落ちていた。そのスピーカーから羽生さんの声が聞こえていた。


『A!返事しろ!』


私に何かあったことを羽生さんに伝わっている。それは非常にラッキーだ。

首元に硬いものが触れた。
私の足元に人がいるのに、後ろから当てられたそれはもう1人いたということ。
ばちん、と大きな音がして、私の意識はそこで強制的に途絶えた。

0-1→←4-3



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (250 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
543人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

みずたま(プロフ) - 竜胆さん» コメントありがとうございます!どう転ぶかはわからないですが、私もくっついたらいいなーとは思ってます。引き続きよろしくお願いします! (2021年11月25日 8時) (レス) id: f07c1a6963 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆 - みずたまさん» 初コメ失礼します!とても、良い話で…一気読みしてしまいましたww 立場的に無理なんだろうと思いながらも、ヒロインと羽生さんがふっついて欲しいと願う程のお話で!毎回、楽しませて貰ってます!ww (2021年11月24日 22時) (レス) @page46 id: 0323b34345 (このIDを非表示/違反報告)
みずたま(プロフ) - さっくんさん» ありがとうございます!続き更新しましたー!よろしくお願いします! (2021年11月24日 21時) (レス) id: f07c1a6963 (このIDを非表示/違反報告)
さっくん - やー!♡続き気になるぅー!!!!!!!!!! (2021年11月23日 22時) (レス) id: 7aaa679c24 (このIDを非表示/違反報告)
みずたま(プロフ) - カンさん» はじめまして!ご指摘ありがとうございます。マルヒとマルガイ、完全に逆にして覚えてました…!修正しておきます。ありがとうございます! (2021年11月20日 23時) (レス) id: f07c1a6963 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:みずたま | 作成日時:2021年10月27日 1時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。