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田淵を散々殴ってしまったリナの意気消沈とした姿が、先日のAと重なった。
Aにそうしてやったように、リナのことも抱きしめて、迎えてやる。




リナのことは、そのまま家に送り届けた。とりあえず狙いの証言動画は撮れたし、事務所ではAが寝ているからと、今日のところは解散になったからだ。途中でウチさんとも別れて、俺は1人事務所に戻る。


自販機で買った水を手に部屋の中へと入ると、定位置に座ってパソコンを触っているマッキーだけが残っていた。


「あ、お疲れ羽生ちゃん」
「お疲れ。他は?」
「山守さんと西城くんなら出たよ。俺も羽生ちゃん帰ってきたし、Aも寂しくないだろうから帰ろっかな」
「おう、ありがとな」


あっという間に帰り支度を済ませたマッキーを見送って、俺はAに近づく。
Aはいつも俺が座るソファーに寝かされていた。薄手のブランケットはかけられているけれどそれだけで、俺は上着を脱ぐと上から重ねて置いておいた。
Aの、血の気が引いている顔色はあまりよくない。目尻には涙が少し残っていて、親指でそれを拭っておいた。


「っん…」


その顔に触れたからか、Aの瞼がゆっくりと開かれる。


「はぶさん…?」
「突然気分悪くなったって聞いた。今はどうだ?」
「今は……平気」


その顔色でそれを言われても、ちっとも説得力がない。でもせっかく目が覚めたんなら、この隙に帰り支度をさせてAが寝泊まりしている場所へ送り届けてもいいだろう。今のAをここで一晩過ごさせるわけにはいかない。


「ちゃんとベッドで寝たいだろ?送ってく」
「送る、だけ?」
「Aが嫌じゃなかったら泊まってくけど」
「羽生さんは、嫌じゃない」


身体を起こしたAの手が、求めるように伸びてくる。応えてやるようにこちらから手を繋いだ。その手はそのままに、Aは俺の胸に頭を寄せる。


「……羽生さんじゃないと嫌だ」


猫のように擦り寄るAの頭を撫でる。

俺はAのことを、本当の意味で助けてやることは出来ない。
気休めの温もりを与えてやることしか出来ない現実が、ひどく歯痒かった。

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みずたま(プロフ) - 竜胆さん» コメントありがとうございます!どう転ぶかはわからないですが、私もくっついたらいいなーとは思ってます。引き続きよろしくお願いします! (2021年11月25日 8時) (レス) id: f07c1a6963 (このIDを非表示/違反報告)
竜胆 - みずたまさん» 初コメ失礼します!とても、良い話で…一気読みしてしまいましたww 立場的に無理なんだろうと思いながらも、ヒロインと羽生さんがふっついて欲しいと願う程のお話で!毎回、楽しませて貰ってます!ww (2021年11月24日 22時) (レス) @page46 id: 0323b34345 (このIDを非表示/違反報告)
みずたま(プロフ) - さっくんさん» ありがとうございます!続き更新しましたー!よろしくお願いします! (2021年11月24日 21時) (レス) id: f07c1a6963 (このIDを非表示/違反報告)
さっくん - やー!♡続き気になるぅー!!!!!!!!!! (2021年11月23日 22時) (レス) id: 7aaa679c24 (このIDを非表示/違反報告)
みずたま(プロフ) - カンさん» はじめまして!ご指摘ありがとうございます。マルヒとマルガイ、完全に逆にして覚えてました…!修正しておきます。ありがとうございます! (2021年11月20日 23時) (レス) id: f07c1a6963 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:みずたま | 作成日時:2021年10月27日 1時

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