2話 ページ3
「なあ須賀、お前さっき誰と喋ってたんだ?」
「いや、別に誰とも話してなんか…」
「でも話し声が聞こえたし。話していないんだったらなんで立ち止まってたんだよ、おかしいだろ。」
どうしようこの人意外としつこい。この学校でも変人扱いされたら僕は…
その時だった
「おい、小笠原。ちょっと頼みたいことがあるんだけど。」
「あ、先輩!」
「じゃ、僕はこれで…」
「おい待てよ!」
「小笠原。いいからさっさと付いて来い。」
幸い小笠原君の先輩が来て事なきを得た。しかし結構チャラチャラした感じの人だったな。
結局授業が始まっても小笠原君は戻ってこなかった。
掃除の時間、ゴミを捨てるためにガヤガヤした廊下を歩いていると噂をしている女子の声がして耳を傾けた。
「ねぇ小笠原君ってさ、直井先輩のグループ入ってるじゃん?前見ちゃったんだけどね…一組の金子君っていう子のお金巻き上げてたんだって。」
へぇ、小笠原君って意外とそういうことするのか。裏がない人間はいないということを改めて感じた。きっと直井先輩って移動教室の時に来た、少しチャラついていた人のことだよな。小笠原君がいなくなって先生が心配しないのも、おそらくかなりの頻度で授業に出ていないからに違いない。
そう推理していると廊下の向こうから罵倒するような声が聞こえた。こういうのには関わらない方が良い。しかし廊下を超えた先にゴミ捨て場がある。もう少し広い学校だったら色々と便利だったのに、知らないふりして通るしかない。
「失礼しまーす…」
そう言った直後、僕めがけて何かがぶつかった。思わず倒れてしまい上体を起こすと最悪なことに金子と書かれたネームプレートをつけている男と目が合った。
「あ、すみません。」
僕は何事も無かったように立ち上がりその場を退こうとした。少しでも変な行動をしたら僕まで巻き込まれるに違いない。しかし相手はいきなり
「もしかしてさ、お前はじめっていう名前だったりしない?」
なんで僕の名前知ってるんだろう。
「僕はあんたの事なんか知りませんよ。」
少々早口で言うと金子君は
「今は両親が離婚して金子になったけど旧姓は勝田っていう。覚えてない?」
「え…まさか尊?」
「勝田尊」その名前で思い出した。小学校低学年の頃、都市部の同じマンションの階でよく遊んでいた子だ。まさかこいつがいじめの標的になってるなんて思いもよらなかった。
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作者名:えぞ | 作成日時:2017年11月12日 21時