第6話 アウトブレイク・ティーブレーク ページ24
「で、どう思う?」
「どう思う?て。いや、ええひとやん」
「そうやなくて〜」
会社からはだいぶ離れた淳太ん家の近くで、めちゃくちゃうまい夕飯食った帰り道。無理やり引きずってこられた近くのバーで俺は核心に触れる言葉は一切出さずに相談に乗るとかいう難業をさせられとる。
「あのコックさんやろ?」
「そう!めっちゃかわいくない?」
「かわいい言うか…なんや、どっちかっていうとますらお系やったけど…」
「せやんなぁ、かわいいやんな?!」
「聞いてへんな…」
俺は下戸やから酒は飲まんけど、淳太も酔わんからいつもはそれなりに快適。下戸ってわかってたら自分が飲まんことはできるけど周りが全員酔うたとき介抱させられんのがなんやかんや1番だるいんよな。
でも今日は打ち明け話しとるからやろうか、淳太が珍しく酔うてるみたい。
「は〜、俺なに?こういう場合どうしたらええんはまちゃん?」
「今日仲良うなれたんやしさ、よかったやん」
「うん、それはほんまよかった。はまちゃんありがとう!バイトのお兄ちゃんもありがとう!」
「それ本人に言うたりや」
「うん次会うたら絶対言う」
噛みしめるように言って、淳太はグラスのウイスキーを煽った。
「にしてもあの淳太が声もかけてへんとはな〜」
「なんやねんその言い方」
人を軟派な男みたいに、淳太は笑いながらいうけど、こいつが誰よりも真面目な男だってことは俺が誰よりも1番知っとる。そういうことやなくてさ、と重ねたら、わざとらしくきゅるんとさせた目がきしょくて肩をはたいた。なんやこの酔っ払いが。かわいいやつめ。
「人に声かけんのとか得意やん。俺やって最初あのタイミングで話しかけられてこいつ鉄人か思うたで?」
「いや、濱田に声かけんのんとはわけが違うんじゃい!」
「はぁ〜傷ついた!はまちゃん傷ついたわ〜!」
淳太は一つ年上やけど、こんな風にふざけて笑えるんを有り難く思う。アホの俺がうっかりみたいに受かってしまった外資系の大企業。こんなに仲良うしてくれる人に会えるなんて思うてなかった。
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作者名:ぐりむ | 作成日時:2017年5月14日 9時