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他の人に言われるほど、俺のはなししてくれてたん?
俺のことちゃんと見てくれてたん?
そんなん言われて俺どうしたらいいん。
忘れるつもりやったのに。
照史くんの言葉が蘇る。次に活かせるんは、反省したもんの特権やって。
好きやねん。アホみたいやけど、一目惚れやねんもん、綺麗やねんもん。俺、もう、もしあのとき…なんてどうしようもないこと想像したないねんて。
「あっあの!」
絞り出した声が揺れてしまってそこそこはずい。けど、その人は動揺もせずゆっくりこっちを見て微笑んだ。あー、ほんま綺麗な人。
「お兄さんたちの名前も、聞いてもいいっすか」
小瀧はな、うちのオーナーのことりゅーせーりゅーせー言うんです。付き合うてへんのに、年上やのに、馴れ馴れしくりゅーせーって呼ぶんです。
せやから…やから…
俺も名前で、あなたを呼びたい。
あなたの名前はなんですか。
「あぁ…そやな。俺の名前は、中間淳太です。やっと知り合えたなコンビニのお兄ちゃん」
ほんまや。ほんまですね。
知り合いになれるやなんて、夢にも思うてへんかった。
「中間、さん…」
「そうやでしげくん」
今日ここで会えたこと、勝手に運命って呼んだら怒られるんかな。小瀧に馬鹿にされるかな。
「俺は霤帖はまだたかひろ!」
「はまちゃんな」
「ここ気に入ったから通わせてもらうわ、仲良うしてな、しげくん」
「しげ」
「ん〜?」
「しげ、で、いいです」
思い切ってクッと見上げると、淳太さんがゆっくり表情を緩めて、
「ほなら俺も、淳太でええよ」
ぽったりした唇が、俺の、名前を
「しげ」
模った。
追いやって、堰き止めようとしてた恋を、
軽率に再開させてしまった真夏の夜9時ちょっと前。
________
「なぁ照史くん」
「照史でいいっすよ」
「さっき俺しげと喋ってたよなぁ?」
「え?」
「しげ、淳太しか見てへんかったように見えてんけど」
「大丈夫やはまちゃん、俺には見えてんで」
「そういうことちゃうやん!」
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作者名:ぐりむ | 作成日時:2017年5月14日 9時