慰めあい協定( 毅 ) ページ10
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「A...?」
ひょんな事がきっかけだった。いつも通り仕事の話を聞いてもらって、いつも通りお客さん目線のアドバイスを貰って、「毅には私がいるよ」なんて到底俺には言えない小っ恥ずかしい台詞を言ってくれるのも何もかもいつも通り。それでふと俺ばっかり聞いてもらうのもなぁなんて思って話の流れのまま Aは最近どう? なんて聞いたらこれ。
「やっ、なんでもない...っごめんね、」
「え、まって、ごめん俺なんか悪い事言った?」
「ううんっ、毅は何にも、っ」
嗚咽する という表現はこういう時の為にあるんだろうか、ここまで酷く泣くAは初めてで何かあった事を悟った。
「とりあえず泣き止んで、ゆっくりでいいから」
少し引き寄せようとAの腕を軽く引いた瞬間だった
「いっ、た」
と零したAが顔を強張らせて俺の手を振り解いた時に直感で全てがわかった。俺はそんなに強い力で腕を引いていないこと、少し暑い季節なのにAが長袖を着ていること。
「A、左腕見せて」
「っ、やだ、いやだっ」
「Aに痛い事したくない、早くして」
もう逃げられないと悟ったのだろう、Aは震える右手で制服の左袖を捲り上げる。ほら、やっぱり、
「なんだよこれ...」
「ちょっと、転んじゃって、」
「こんなの転んで出来る痣じゃねえだろ。誰にやられた?」
「っ、ほんとに転ん「A、俺ってそんなに頼りない?」
こう言ってしまえばきっとAは話してくれるだろう。自分でも狡い事を言っていると思った。でもそれ程に気持ちが切羽詰まって、自分が自分じゃ無くなっていく感じがして。怖くなってぽつりぽつりと話し出すAの話に耳を傾けた。
ーー本当にくだらないと思うしかない話だった、Aと俺が仲が良いだの付き合ってるだの、嫉妬や強欲に塗れた女の汚い話。だけど普段ならくだらないで済む話もでも当の被害者が自分の彼女なら話は別。
「俺に迷惑かけると思ってた?」
「っ、うん、」
「こんな話後で知る方が辛いし迷惑」
「ごめ、ん、」
「...ごめんね、ちょっと強く言いすぎた。俺明日言いにいくから、その子達に」
こくりと頷くAを見てこの上なく安心した。迷惑かけるって嫌がると思ったから。安心してそのままAの肩を引き寄せてぎゅっと抱きしめて、いつものお返し。
「俺が一緒にいるからね」
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赤い糸を切っちゃうプロ( 和哉 )→←絶対不可侵の一部屋( 壮吾 )♯
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あっとまーく - 林さん» 壮くんとドラマで共演して仲良くなり付き合うっていう話読みたいです!少し長くなってしまいますかね?よろしくお願いします! (2017年11月3日 18時) (レス) id: aa64b92b3e (このIDを非表示/違反報告)
林(プロフ) - あっとまーくさん» ありがとうございます!( ; ; )またお待ちしてます!! (2017年10月23日 0時) (レス) id: fbd62e5557 (このIDを非表示/違反報告)
林(プロフ) - まほさん» リクありがとうございます!書かせていただきます! (2017年10月23日 0時) (レス) id: fbd62e5557 (このIDを非表示/違反報告)
あっとまーく - 林さん» イメージ通りの話で凄い良かったです!また思いついたらリクエストします。 (2017年10月15日 11時) (レス) id: aa64b92b3e (このIDを非表示/違反報告)
まほ(プロフ) - 壮吾のお話の続きでイチャイチャしているお話がみたいです!お願いします! (2017年10月14日 20時) (レス) id: 5cc7a201b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:林 | 作成日時:2017年10月9日 0時