愛しきキャラメリゼ( 和哉 ) ページ8
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「ほんっとに最悪」
集合場所である自宅に和哉が来て即座に愚痴を溢す。これだから雨は嫌いだ。今日の為に綿密に練った計画も何もかもを流して行ってしまうのだ。
「予報は曇りだったのに」
「仕方ないよ」
彼にとっては慣れた部屋だろう、自宅のようにベッドに寝転び漫画を読む姿を見て少しの苛立ちを覚える。それほど今日を楽しみにしていたのだ。不満を露わにしながら和哉を見つめる。
「うわ、ぶっさいく」
「うるさい、黙ってほんとに」
「そんなに楽しみにしてたの?」
当たり前だ、と言うより先に涙が出そうになる。
学業にも仕事にも忙しい和哉のせっかくのオフだったのに。予定では今頃横浜に向かっているはずなのに。この様子だと自分ばかりが楽しみに心待ちにしていたみたいでなんだか自分が惨めになってくる。
「こっちおいで」
「和哉が来て」
「動かないから太るんだよ」
「ほんとに嫌い」
「今日だけだかんな」
後ろに移動してきた和哉が胡座をかいて私を膝の上に導く。すっぽり身体が収まったかと思えばぎゅうっと抱きしめられて、心音がダイレクトに伝わってくるのが分かった。
「和哉、ドキドキしてる」
「うるせぇよ」
「なんで」
「半泣きのお前見たから」
「変態じゃんただの」
「可愛いなって思ったの」
可愛い なんて普段は絶対に口にしないような言葉がつらつらと和哉の口から出てきた事に驚いて後ろを振り返る。頬を染めて、でも真っ直ぐ私の目を見て和哉は話し出した。
「俺はね、Aと居れるならいいの。良い意味でどこでもいいの。」
「っ、でも、今日たくさん予定立てて」
「うん、だからさ、次晴れたら絶対今日の予定で行こう。それなら無駄にならないでしょ」
「、ん」
「だから今日の予定絶対忘れないでね」
「....わかった、」
「ほら機嫌治して、テレビ一緒に見よ」
落とされたキスの1つで機嫌が取れるなんて。自分の単純さに少し嫌気を感じながらもこんな日もいいか、なんて少しだけ雨が好きになったそんな日。少しだけね。
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絶対不可侵の一部屋( 壮吾 )♯→←心の在り処を証明せよ( 玲於 )♯
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あっとまーく - 林さん» 壮くんとドラマで共演して仲良くなり付き合うっていう話読みたいです!少し長くなってしまいますかね?よろしくお願いします! (2017年11月3日 18時) (レス) id: aa64b92b3e (このIDを非表示/違反報告)
林(プロフ) - あっとまーくさん» ありがとうございます!( ; ; )またお待ちしてます!! (2017年10月23日 0時) (レス) id: fbd62e5557 (このIDを非表示/違反報告)
林(プロフ) - まほさん» リクありがとうございます!書かせていただきます! (2017年10月23日 0時) (レス) id: fbd62e5557 (このIDを非表示/違反報告)
あっとまーく - 林さん» イメージ通りの話で凄い良かったです!また思いついたらリクエストします。 (2017年10月15日 11時) (レス) id: aa64b92b3e (このIDを非表示/違反報告)
まほ(プロフ) - 壮吾のお話の続きでイチャイチャしているお話がみたいです!お願いします! (2017年10月14日 20時) (レス) id: 5cc7a201b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:林 | 作成日時:2017年10月9日 0時