今夜踊るは君かまぼろし( 颯 ) ページ12
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明けましておめでとう、なんて笑いあったのがこの前のように感じる。世間は所謂クリスマスイブで浮かれた社会人と学生のオンパレードだ。
そういう相手が居ないわけじゃない、ただ相手が少し特殊な仕事をしているというだけで。今日もイベントごとがあるからおいで、なんて言われたけどきっと嫉妬の渦で堪ったもんじゃない。
「行けば良かったかなぁ、」
堪ったもんじゃないなんて言ったって会いたい。他のカップルに感化されたとは言え当たり前の事である。
「うー、さっむっ」
誰もいない部屋の暖房をつけて習慣のようにテレビをつけるとデカデカと映し出された音楽番組で流れるPV。そういえばシングル出すって言ってたなぁ、なんて思っているとインターホンが鳴った。
良いところなのに、なんて渋々モニターを覗くとそこにはマフラーに顔を埋めた愛しい彼の姿。
「っえ、颯、?」
「へへ、とりあえず寒いから中入れて?」
聞いてない、こんなの聞いてない、もう少しちゃんと化粧しておけばよかった。けど寒空の下颯をほかっておくわけにもいかなくて煮え切らない気持ちで玄関のドアを開ける
「うあーー、あったけーー!」
「まって颯なんで?仕事は?」
「終わったから会いに来ちゃった」
「そんな無理しなくてもよかったのに...」
「会いたいって思ったの」
さっきまで画面の中の人だった人がこうして寒さの中耳を赤くして会いたかったと言って会いに来てくれている、その事実に涙が出そうになった。
「やっば、ごめん、ちょっと泣きそうっ..」
「なんで泣くの!?嫌だった!?」
「そ、じゃなくてっ、うれしくて、っ」
一瞬目を見開いた颯が横に移動してぎゅうっと私を抱きしめる。そうだ、この温もりが恋しかったんだ。なんて思うと余計涙腺の制御が効かなくなって。
「っ、ごめっ、服濡れちゃうっ」
「いいよそんなの。気にしないで。」
私の背中を少しさすって、そのまま私の後ろに置いた鞄に手を伸ばした。何してるんだろ、なんて思っている間に右手に温もりとは違う冷たい感触があって
「メリークリスマス、A」
「あ..これっ、」
「左手はまだできないから、今は右手ね?」
「うんっ...」
「でも左手も予約しとく」
なんてどこで覚えたのかキザな台詞を呟いて左手薬指にそっとキスを落とすと、満足そうに彼は微笑んだ。
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一番星に導かれて( 洸希 )→←赤い糸を切っちゃうプロ( 和哉 )
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あっとまーく - 林さん» 壮くんとドラマで共演して仲良くなり付き合うっていう話読みたいです!少し長くなってしまいますかね?よろしくお願いします! (2017年11月3日 18時) (レス) id: aa64b92b3e (このIDを非表示/違反報告)
林(プロフ) - あっとまーくさん» ありがとうございます!( ; ; )またお待ちしてます!! (2017年10月23日 0時) (レス) id: fbd62e5557 (このIDを非表示/違反報告)
林(プロフ) - まほさん» リクありがとうございます!書かせていただきます! (2017年10月23日 0時) (レス) id: fbd62e5557 (このIDを非表示/違反報告)
あっとまーく - 林さん» イメージ通りの話で凄い良かったです!また思いついたらリクエストします。 (2017年10月15日 11時) (レス) id: aa64b92b3e (このIDを非表示/違反報告)
まほ(プロフ) - 壮吾のお話の続きでイチャイチャしているお話がみたいです!お願いします! (2017年10月14日 20時) (レス) id: 5cc7a201b4 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:林 | 作成日時:2017年10月9日 0時