〜夢な話〜

電車〜2〜 ページ8

薄く中々取りずらい透明なシートと格闘していた


その時の私の姿勢は半分座席から身を



乗り出す体制になっていた









ガタンっ





聞いていたイヤホンがブチッと外れ




〜〜〜〜♪





電車内に軽快な音楽が流れ出す





うわぁ…今度こそコレはヤバい




急いでウォークマンをOFFにする





と、その時





「あの、これあなたのですか？」





へ！？と思って前を見ると
男の人が見覚えのある赤シートを
持って立っていた





あ、いつのまに…




(私)「そ、そうです！！それはいかにも私のですっ！あ、ありがとうございます…！」





あわてて受け取る





わ、この人手がめっちゃ綺麗だな…





長い指と整えられた指先に思わず見入ってしまう





(古)「あの……？」





(私)「あっす、すいません！/////」






何してんだ私は！！




拾ってもらった上に手を凝視するとか…




あ〜〜もう入りたい
穴があったら入りたい





私はその人の顔を恥ずかしくてその時あまり
見ることができなかった





「間もなく〇〇に到着します。お降りの方はお荷物を〜……」




あ、次で降りなきゃ！！





(私)「あ、あの！本当にありがとうございました！」





(古)「え、いや。そんな大した事じゃ…」





プシューッ(ドアが開く音)






(私)「失礼します！」





(古)「あっちょ……」






私は電車のドアが開くのと同時に逃げるようにその場を去った





(私)「はぁ…今度からは電車で何かするときは気を付けなきゃ……」






てゆうか車内に知り合いがいなくてよかった…





友達とかいたら絶対次の日のネタにされる←







それにしても…今の人の声、誰かに似てた気が…





まぁ、気のせいだよね






でも、本当に綺麗な指だったなぁ





いつも華麗な演奏をしてるあの人みたいだった






(私)「てゆうか…全然テスト勉強できてないし(泣)」








それから後はもう勉強のことしか頭になくて




この時のことはすっかり忘れていた






そう、全身黒の服を着た私の赤シートを
親切にも拾ってくれた人のことも






まさか、それからすぐ後にあんな事が
起きるとはこの時の私は知る由もなかったのだ

作者から→←電車〜1〜

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す