《完結》契約済み。7

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そこからは、あまり覚えていない。



三代目のステージも、あいにく全くの上の空で。



ただ唯一覚えていたのが、セットから垣間見る広臣の大きな背中と広臣の真っ直ぐな声。



ぼんやりとしていたあまり、それに対して特に感想も抱くことはないけれど、やけに鮮明に 頭に残っている。



彼らが帰ってきてからは、座る場所が大きく離れた。



MトピのVTR中にワイプに映る自分の顔が、どんな顔をしていたのかはわからない。




呆れるほどの公私混同で言葉も出ないが、SNSで「Mステでの態度が悪い」だなんて叩かれても、もはや仕方がないとさえ感じてしまった。




トリを飾るSMAPの皆さんのステージも終盤に差し掛かるころ、エンディングを迎える準備のため私も腰を上げる。




お決まりのBGMに合わせて、1組ずつ当てられる最後のアップも、上手く笑えていたのか定かではない。


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…これじゃあ、プロ失格。



プロと呼ぶことさえも疑うほど自分が情けなくて、楽屋で一人自嘲気味の笑みを漏らしたころ、


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ふとあたしの肩を叩く者がいた。




驚いて後ろを振り向くと、よく知った顔が笑っていた。



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「…お兄ちゃん…。」



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レンズの大きな黒縁の伊達眼鏡に、黒のダウンジャケット。




もう私服に着替え終えていた兄が、変装まがいの格好で私の前に立っている。



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「…ぁ…。」



年明けも実家で会ったはずなのに、…どうしてだろう。



こうして面と向かって話すのが久しぶり過ぎて、どこか懐かしく思う自分がいる。


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