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最後の一文字がだんだんとフェードアウトしていって。
やがて口を閉じた頃に、その余韻に浸りながらマイクを下ろす。
どうやら肩で呼吸してしまっていたようだ。
走ったあとの息切れでもなく、ライブを終えたあとの心地よい達成感とも、また違う。
長かったようにも短かったようにも感じた3分半が、妙な疲労感を帯びていた。
ここで初めて、マイクを握る手が緩んで。
自分がいつも以上に力んでしまっていたことを悟る。
「…ーっ…はあ…」
誰にも気付かれないように小さく息を吐いて肩の力を抜いた。
後ろの観客から起こる拍手に気付き、そこで初めて番組の生放送であることを思い出した。
ゆっくりとお辞儀をして、ズームアップされたカメラに映るあたしの顔は、果たして上手く笑えてるだろうか。
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…出来る限りのことはしたつもりだ。
歌う直前、若干の邪念に怯んだが歌への想いはブレなかったと信じたい。
もう思い残したことはないはず。
広臣への想いは、ひとつ残らず歌に注いだはず。
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…なのに。
胸の鼓動がうるさい。
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どうしてなの。
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きっと意味なんてないのに、
この歌を聞いた、広臣の感想が聞きたい。
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あなたの返事が、知りたくなってしまった。
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尼崎の雑草になりたい(プロフ) - イッキ読みしました!笑中2ころから書かれてたなんて、すごいです!臣くんと隆二くんの特徴とか健ちゃんの感じも汲み取っててとても素晴らしい小説でした! (2019年3月23日 1時) (レス) id: 9e0d1bf52d (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ(プロフ) - 昨日の夜から読み始め今読み終わりました…もう最高っ!何度泣いてしまったか…すごく苦しい場面もありましたがすごく素敵なお話ありがとうございました!! (2017年9月2日 17時) (レス) id: 73f9f33188 (このIDを非表示/違反報告)
ちくしょー青春。(プロフ) - miiさん» ありがとうございました!!一応書き手としている身としては、この上なく嬉しいお言葉…!!(T ^ T)またお会いできる機会がありましたら、よろしくお願いします! (2016年12月28日 21時) (レス) id: 37b819d85e (このIDを非表示/違反報告)
ちくしょー青春。(プロフ) - さくらさん» 返信がすごく遅くなってしまいました……ありがとうございました!!それどけの感動を与えられたのなら、もう満足です。有難い限りです。ご愛読本当にありがとうございました!! (2016年12月28日 21時) (レス) id: 37b819d85e (このIDを非表示/違反報告)
mii - 凄くやばかったです!もう読んでて満足とゆーか、楽しかったです! (2016年10月19日 19時) (レス) id: 38aaae60ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちくしょー青春。 | 作成日時:2015年12月29日 0時