《完結》契約済み。7

○*。316 ページ29

.



生放送終わりあたしを、お兄ちゃんが家へ誘う。



広臣と隆二くんは、寝室にてスタンバイ。



二人がいることを知らないあたしに、お兄ちゃんが広臣への想いをさり気なく聞く。




てっきりお兄ちゃんは、あたしが今でも広臣のことを諦めていなくて、今日披露した新曲も「芸能界を捨ててでも広臣を追いかけるための決意の曲」だと勘違いしていたらしい。




だから、酒を酌み交わしながらあたしの口から出る言葉は、広臣を想う素直な言葉だと想定。



そこへ、それを寝室で聞いていた広臣たちが出てきて驚くあたしと和解。



そして、晴れて結ばれましたとさ。



.


…というシナリオだったらしい。





しかしそんなお兄ちゃんの予想を反して、「広臣のことはもう好きじゃない」と言ったあたし。



それを聞いて耐えられなくなった広臣が出てきて、…あの場面。




想定外のあたしの言葉と思いがけない広臣の登場にヒヤヒヤしたが、上手くいって良かった。と、お兄ちゃんは言う。


.



「全然気づかなかった…。」



臣「…騙すような真似してごめんな。

お前はこんなことあんまり好まねえだろうなとは思ったけど、…こうでもしなきゃお前、俺と会ってくんねえし。」




それもそうか。



しきりに掛かってきてた彼からの電話にも、結局一度も応えることができず。



こんな機会がなかったら、あたしはきっと広臣とは向き合えないままだったんだろう。





.

○*。317→←○*。315

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す