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健「まあ、座れ。よう来たなあ。」
「大袈裟な。」
ポコポコと音を立てて注がれる目の前のグラスを見つめる。
お兄ちゃんは、あたしに注いでくれていた缶を一旦テーブルに置いて、自身のグラスも顔の前に掲げた。
健「そんじゃ!改めて!乾杯!」
「お疲れ様です。かんぱい。」
…ぐびぐびぐび。
そろそろ本気で心配になるほど清々しい飲みっぷりを尻目に、自分も遠慮がちにグラスを傾けた。
勢いよくビールが喉元を流れ、自分の今の体温にそぐわないその冷たさが、1日頑張った自分を癒していく。
あたしもお兄ちゃんと似てそこまでお酒に強くはないが、お酒の魅力には惹かれる身。
仕事終わりの一杯は、やはり身体に染みるものがあった。
健「っあー、いいわあ…!うまい!」
意欲的というか好意的というか、お酒に対してここまで活力を持ったお兄ちゃんを見るのは初めてだった。
「お兄ちゃん…えと…。」
健「うん。もう喋らんくてええ。
お前の言いたいことはよく分かってるからな。」
手のひらをあたしに突き出したお兄ちゃんに、思わず口を噤んだ。
本当にわかっているのかわかっていないのかは定かではないが、
少なくとも、広臣がその話題の登場人物の1人であることは、手に取るようにわかる。
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尼崎の雑草になりたい(プロフ) - イッキ読みしました!笑中2ころから書かれてたなんて、すごいです!臣くんと隆二くんの特徴とか健ちゃんの感じも汲み取っててとても素晴らしい小説でした! (2019年3月23日 1時) (レス) id: 9e0d1bf52d (このIDを非表示/違反報告)
ひとみ(プロフ) - 昨日の夜から読み始め今読み終わりました…もう最高っ!何度泣いてしまったか…すごく苦しい場面もありましたがすごく素敵なお話ありがとうございました!! (2017年9月2日 17時) (レス) id: 73f9f33188 (このIDを非表示/違反報告)
ちくしょー青春。(プロフ) - miiさん» ありがとうございました!!一応書き手としている身としては、この上なく嬉しいお言葉…!!(T ^ T)またお会いできる機会がありましたら、よろしくお願いします! (2016年12月28日 21時) (レス) id: 37b819d85e (このIDを非表示/違反報告)
ちくしょー青春。(プロフ) - さくらさん» 返信がすごく遅くなってしまいました……ありがとうございました!!それどけの感動を与えられたのなら、もう満足です。有難い限りです。ご愛読本当にありがとうございました!! (2016年12月28日 21時) (レス) id: 37b819d85e (このIDを非表示/違反報告)
mii - 凄くやばかったです!もう読んでて満足とゆーか、楽しかったです! (2016年10月19日 19時) (レス) id: 38aaae60ac (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちくしょー青春。 | 作成日時:2015年12月29日 0時