契約済み。3

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怒っている表情でもない、かと言って、すがるような表情でもない、でも心の奥には計り知れない意志が宿っているような目。




Aちゃんが健二郎くんに俺たちのこと打ち明けたときも、…きっとAちゃんはこんな目をしてたんだろうな。




健「…これが、俺があいつにしてやれる最大限のことやと思ってる。兄としての使命やとも思ってる。」



臣「…。」



ああ、何か返さなければ。



臣「俺と有紗のこと…なんか言ってた？」



健「いや、熱愛出てからは一回も話せてへん。」



臣「そうか…。」



さきほどの健二郎さんのように、俺はビールジョッキを持ち上げた。



今の状況から一瞬でも逃避するように喉に流し込んだビールは、とっくにぬるくなっていた。



結局、なんの足しにもならずに悶々とした気持ちで目の前の皿を見つめた。



健二郎くんは、何も言わない。



…ああ、俺はなんて言えばいい？



というか、今の俺の気持ちはどうなんだよ。


自分の妹に、他人に言えないようなやましいことさせたくないっていう健二郎くんの気持ちは痛いほどわかる。



あいつも、こんな関係を持ちながらも、本当は紛れもなく純粋な心の持ち主だから、自分の兄にさえ言えない罪悪感に散々悩まされてたんだろうと思う。

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