契約済み。3

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防波堤に立ち尽くす臣の存在が発覚してから、俺まで身動きが取れなくなってしまっていた。



未だに震えたままの彼女の肩を抱き寄せたまま、隠す素振りも全くないままに臣を見上げる。



臣の顔には、不意打ちにあったような驚愕の色が浮かんでいた。



口が半開きになっている。



まだ臣がこちらに降りてきたわけではないし、今Aちゃんにこのことを告げれば、混乱を招き兼ねないので黙っておく。



しばらくすれば、きっと臣もこちらへ降りてくるだろう。




今はただ、驚いた顔のままの臣を睨みつけていた。



…でも。



俺がいくら威嚇の目で睨みつけても、同じような目で返そうとしないのは、俺のことをライバル視してないからなのか？




…ふざけんじゃねえ。




俺だって始めは、二人のことを温かく見守り続けるつもりだった。



だから臣にもAちゃんにも、二人のことを思って、厳しいこと言った時もあった。



でも、臣の揺れる想いに対して、Aちゃんはもう既に心を決めていた。




臣がこんなんじゃ…きっとAちゃんは傷付くだけ。




こんなに健気に臣のことを思うAちゃんを放っておけなくて、俺は彼女を支える役目に徹した。




…いつからだろうか。




俺じゃない誰かのために流す彼女の涙を、ただ拭ってやるだけの関係に、飽きてしまったのは。





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